809:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:28:48.70 ID:HHfyV3AE0
【4/4】
そういった状況からの転機は、中学二年生にあがる頃だったと思う。
810:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:29:42.10 ID:HHfyV3AE0
「あなたはどうして最後までやりきることができないの?」
「とやかく口を出す気はないけど、妹に負けたままで悔しくはないの?」
「自分の意見はないの?」「人に合わせてばかりで恥ずかしくないの?」
「何事にもはっきりしているから佑希の方が接しやすいわね」「佑希の方がよっぽど大人ね」「あなたはいつまでそうなの?」
811:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:30:39.86 ID:HHfyV3AE0
佑希と比べられることに関しては、無関心を貫き通すつもりだった。
母さんの感知しない所で佑希が心の安寧を得ているのだし、今更俺がそれを嘆くことは今までの苦労を台無しにすることに繋がるものだったから。
俺が悩んだのはもっと別のことで、もっと単純なことだ。
812:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:31:31.70 ID:HHfyV3AE0
本当は、カメが追いついてきたら、一緒に並んで終着点まで進んでいけたらいいと思っていたのに。
無駄なことで競うのはやめにして、ちょっぴり不器用なカメとどうでもいいような話をしながらゆっくり歩いていきたかったのに。
そういうつもりで、俺は彼女をずっと待っているつもりだったのに。
813:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:32:24.93 ID:HHfyV3AE0
【言葉にすれば】
「お兄ちゃんは悪くないよ」
814:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:33:00.47 ID:HHfyV3AE0
「それでさ」と彼女は話を変える。
「……今日は、なにかあったの?」
815:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:33:38.06 ID:HHfyV3AE0
「どうしたの」
「ううん。なんでもない」
816:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:34:19.69 ID:HHfyV3AE0
十秒、二十秒、三十秒と触れている時間が過ぎていくうちに、俺の思考はびりびりとしびれるようなものから、いろいろなものに変化していく。
目を瞑る。開けたままでいると、目の前のことばかり考えてしまいそうになるから。
817:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:34:53.96 ID:HHfyV3AE0
俺は彼女と並んで歩きたかった。
お互い一人で立っていられるくらいに強くなって、それでもどこか不安を感じてしまったら、そのときは安心を与えられるような存在でありたかった。
押し付け。自分のことしか考えていない。我慢していられない。
818:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:35:36.99 ID:HHfyV3AE0
人には各々広さ大きさの異なるキャパシティが存在する。
自分のことで手一杯な人は、他者にかまけている余裕はなくなるし、ある程度余裕が持てる人、もしくは自分を蔑ろにしている人は、他者を抱え込めるだけの隙間/余地が残されている。
誰かに頼られる。それを助ける。
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