843:名無しNIPPER[saga]
2017/12/14(木) 18:46:37.76 ID:oAV4+yJj0
腕には私の胸が当たっているから、多分部長さんにもそれは伝わっている。
そう思うと、ますます募る恥ずかしさで彼女の顔を直視することができなくなった。
自分から腕を取ったのに、ちょっと近いだけでこのありさまだ。スキンシップに慣れてなさすぎる。
844:名無しNIPPER[saga]
2017/12/14(木) 18:47:48.19 ID:oAV4+yJj0
【つまさきせのび】
「部長さんは、私に訊かないんですか?」
845:名無しNIPPER[saga]
2017/12/14(木) 18:48:59.22 ID:oAV4+yJj0
頬を刺す冷えた夜風に、お互いぶるぶると身震いする。
どちらともなく近付いて、アスファルトに座り込む。彼女の体温を、息遣いを、すぐ近くに感じる。
本当は少しだけ描いていた。描こうとしていた。
846:名無しNIPPER[saga]
2017/12/14(木) 18:50:05.48 ID:oAV4+yJj0
などと考えていると、はい、とガムを手渡される。
受け取ってから彼女を見ると、薄紫色の風船をぷくーっと膨らませていた。
それを真似するように、ベリー味のガムを口に含む。
847:名無しNIPPER[saga]
2017/12/14(木) 18:51:00.94 ID:oAV4+yJj0
「やり直しが効かないところだと思います」
小さいころは、紙とペンさえあればそれでよかった。
単に近くにあったから。それだけの理由だけど、そのままでいられたらどれだけ良かったのだろうと思ってしまう。
848:名無しNIPPER[saga]
2017/12/14(木) 18:51:40.22 ID:oAV4+yJj0
「んじゃさ、好きな画家は?」
「いろいろいます」
849:名無しNIPPER[saga]
2017/12/14(木) 18:52:28.27 ID:oAV4+yJj0
誇れるのは雪国育ちの色白くらい。
……だと思っていたのに、未来くんは私より白い気がする。なぜか悔しい。
「拗ねないでよ」
850:名無しNIPPER[saga]
2017/12/14(木) 18:53:10.80 ID:oAV4+yJj0
「シノちゃんはここに来てさ、どこか観光地とか行った?」
「いえ」
851:名無しNIPPER[saga]
2017/12/14(木) 18:53:57.36 ID:oAV4+yJj0
「そんなに行きたいんですか?」
「うん」
852:名無しNIPPER[saga]
2017/12/14(木) 18:54:51.59 ID:oAV4+yJj0
「明日……いえ今日までは、編集作業のお手伝いをさせてください。
どっちつかずは、どうしても避けたいですし、私もこの部の力になりたいです。
お茶汲みでも、文章の校正でも、ゴミ捨てでも、なんでもやります」
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