890:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:28:50.01 ID:xOgRNUoX0
お兄ちゃんは悪くないよ、と奈雨は言った。
奈雨自身も、佑希に対して何か思うところはあったのだろうと思う。
それまでの言動からしても、あの時の表情や声音、佇まいからしても、二人はどう頑張ったところで相容れないということはわかっていた。
891:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:29:32.15 ID:xOgRNUoX0
そこまで考えて、それはさすがに俺の意地の悪い思い込みか、彼女を悪く見すぎていると感じた。
前々から思っているように彼女の言動は、全て俺に返ってくるものであるから。
でも、もう無理なのかもしれない。
892:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:30:08.43 ID:xOgRNUoX0
家に戻る気にはなれなかった。
どうしてだろう、と思う。
きっかけを作った奈雨に何かをしてくるかもしれないと思ったから?
893:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:30:58.36 ID:xOgRNUoX0
【当たり】
やっとの思いで自販機へ辿り着く。
部室を出てからたかだか数分のことなのに、その倍の倍も時間がかかってしまったように思える。
894:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:31:46.86 ID:xOgRNUoX0
体育館と武道館の間の通路を抜けて、校庭側へと足を進める。
石段近くのベンチで音楽でも聞きながら、あたたかい飲み物を口にすれば、気分が少しでもマシになるのではないか、という淡い期待を抱きながら。
ベンチに背中を預ける。ここには俺の他に誰もいない。
895:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:33:12.51 ID:xOgRNUoX0
【多彩】
「眠れなかったんですか?」と彼女の近くまで寄って話しかけると、
「ううん、ちょっと黄昏てたの」と微笑み混じりに返された。
896:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:33:44.83 ID:xOgRNUoX0
「……あ、でも白石くんはすぐに私よりも上手くなっちゃうからダメか」
「……はい?」
897:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:34:58.14 ID:xOgRNUoX0
「でも、しゅかちゃん教えるの上手かったでしょ?」
「それは……はい、すごく」
898:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:35:44.27 ID:xOgRNUoX0
俺はなぜかいたたまれない気持ちになって「すみません」と謝った。
彼女は慌てて「だいじょぶだいじょぶ」と繰り返した。
「……何か弾いてみる?」
899:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:36:28.44 ID:xOgRNUoX0
【光と影、その先にあるもの】
七、八曲歌い終えた後の胡依先輩は、ぜえはあと肩で息をしていた。
選曲はなぜか曲名縛りらしく、くるりから絢香、果ては尾崎まで多種多様なジャンルから歌っていた。
900:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:37:45.94 ID:xOgRNUoX0
「シノちゃんと私ね、音楽の趣味とか多分めっちゃ合うの」
「へえ」
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