908:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:47:14.59 ID:xOgRNUoX0
「どう言い繕っても、結局は私自身のためなんだと思う。
あの子が悲しそうにしている姿を見たくないから。描きたいのに描けない気持ちは、痛いほどわかるから」
「……じゃあ、先輩も」
「うん。そうだよ。私も絵が描けなくなった時期があったの。
中二の秋に美術部を辞めてから、イラスト部に入るまでは、何も描かなかった。描けなかった。
絵を描こうって思うだけで、気持ち悪くて、吐きそうになって、どうにか自分を奮い立たせようとしても……駄目だった」
それは、東雲さんの「描けない状態」とほぼ完全に一致していた。
先輩は、描けないと……何て言っていたんだっけ。
「……その、絵が描けない間は、どうだったんですか?」
具体性を丸投げするような質問で、訊ねてから、戸惑わせてしまうかもしれないと思った。
けれど、その心配は杞憂なもので、先輩からの返事はすぐになされる。
「うん。それがね、普通なの。驚くほどにね、何もかもがそのままなの」
「……」
1002Res/840.07 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。