過去ログ - 武内P「結婚するなら、ですか」
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311:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/25(日) 22:12:24.64 ID:zabzgcsho

「……」
「……」


 左手を胸の前に構え、右手を突き出してこちらを指差している。
 『Hotel Moonside』の振り付けの通りなのだが、その指はまっすぐに私を指していた。
 貴女は、これからどうするのでしょうか。
 歌と踊りを続けるのか、はたまた、何事も無かったかのように部屋を出て行くのか。


「……」


 どちらを選んだとしても、見守ろうと、そう、思います。


「……いつから?」


 彼女は、微動だにせず、ポツリと問いかけてきた。
 これは、恐らくどの時点から彼女の奇行を見ていたのか、という質問だろう。
 中途半端な慰めは不要。
 彼女の目が、そう告げていた。


「申し訳ありません。最初から、見えていました」


 こちらとしても、気にせずそのまま迫られても非常に困る。
 なので、立ち直れはするが、膝にくる程度の傷は負っていただきます。


「そう……なら、見ていたお代は、キスで貰えるかしら?」


 年齢にそぐわない艶のある笑み。
 彼女は、こんな状況にも関わらず、なんと余裕のある態度が取れるのだろう。
 しかし、寝不足なので、少々その態度は腹が立ちます。


「……」


 私は、両手で手拍子をうった。
 パンパンと、軽快な音が響き渡る。


「君が、もしその手を〜離したら〜すぐにいなくなるから〜♪」


 手拍子に合わせ、歌う。
 彼女とは似ても似つかない、低い声ではあるが。


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