41:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/16(金) 00:34:24.09 ID:g+ryXGAuo
「……」
真っすぐ見つめてくる彼の視線から逃げるように、顔を俯ける。
前髪がフワリと、視線を遮るカーテンの役割を果たしてくれる。
けれど、それに何の意味もない事もわかる。
「……」
この人は、私が何か言うのを待っているのだろう。
本当に、ひどい人。
彼は、私が何か言葉を発するまで、そこから動かない。
目は口程に物を言うとは言うけど、「笑顔です」と言った時の彼の目は、
『話してください!』
って、まるで大声で叫んでいるかのようだったから。
無口だなんて、とんでもないわ。
あんなにも視線で語りかけてくるなんて、とんだお喋りさんじゃないの。
「……」
だけど……話したく、無い。
小さい時の、勝手な思い込みで悩むだなんて、そんな弱い姿は見せたくない。
私にも、意地というものがあるんですよ。
女の意地じゃない――アイドルとしての意地が。
「……」
だから、私は顔を上げて、真っ直ぐに彼の視線を正面から受け止めた。
瞳の色が違うだなんて、そんな事は気にしていられない。
他のことに気を取られていたら、この真っすぐな、誠実な瞳に負けてしまうから。
『話したくありません!』
『話してください!』
男と女の情熱的な見つめ合い?
いいえ……これは、アイドルとプロデューサーの、意地と意地のぶつかり合い。
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