471:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/04(日) 23:47:04.03 ID:z5DhT6Fio
・ ・ ・
「……」
ひどく、荒れた部屋。
カーテンは引きちぎられ、割れた食器や、衣類等、
様々なものがグチャグチャと放り出され、散らかされていた。
割れたガラスを踏まないように足元に気をつけながら、
部屋の中心の食卓に座っている、彼女に歩み寄った。
「ただいま」
声をかけるが、返事は無い。
机に突っ伏しているので、寝ているのだろうか。
しかし、彼女の手には、強い酒の入ったグラスが握られたままだ。
お猪口でちょこっと、などと生易しい量ではなく、浴びるように飲んだのだろう。
「うっ……ぐすっ……!」
耳を澄ますと、彼女の、すすり泣く声が聞こえる。
起きていた、らしい。
「飲み過ぎだよ」
そう言って、突っ伏したままの彼女の背中に手を添える。
ずっとこの状態でいたのか、体が冷えているようだ。
すぐに、彼女を移動させ休ませて、それから部屋の片付けを――
「ああああああああああっ!!」
顔を伏せたまま、絞り出すような、叫び声。
そこに込められた感情は、深い、悲しみ。
美しかった声は、酒に喉をやられ、泣き続けたせいで、枯れている。
それでもその声は、悲しみの塊だった。
「〜〜っ!」
顔を上げた彼女が最初にしたのは、手に持っていたグラスを投げつける事だった。
昔四人揃って見た、テレビに向かって。
ガシャンッ!
砕け散るグラス。
彼女の狙いは外れ、テレビは、無事だった。
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