過去ログ - 武内P「結婚するなら、ですか」
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561:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/06(火) 00:23:36.80 ID:rZbIlTLeo
  ・  ・  ・

「……」


 あの、LIVEの後から、私達は少し変わった。
 まだ、あの子達を失った悲しみは胸にポッカリと大きな穴を残している。
 けれど、それでも二人ならば歩いていける。
 あの子達の分まで、一緒に生きていこうと思えるようになった。


「……」


 運転する、彼の横顔を見つめる。
 黒かった髪には白髪が混じるようになっており、渋さが増したかしら。
 頭の後ろでは、相変わらず寝癖が立っているし、
困った時に右手を首筋にやる癖も、昔のままだ。
 変わった事もあるし、変わらない事もある。


「――何か?」


 私の視線に気付いたのか、彼が声だけをこちらに寄越す。
 歳を取って更に低くなった声。
 この声を聞くと、私は、揺りかごに乗せられた赤ん坊の様に安心出来る。
 だから、子供のように思っている事を口にする。


「愛してる」


 突然の言葉。
 だけど、彼は少しも驚かなかった。
 ふふっ、言わなくても、わかってますものね。
 私がこうやって口に出す時は、決まって、貴方にも言って欲し――


 ドオオオォォォン!


 大きな、大きな爆発音。
 この先にあるのは、トンネル。
 トンネルの中で、事故が発生したようだ。


「――まずい」


 トンネルの中には、私達より先行して走っていたバスが居る。
 彼が担当していたアイドル達を乗せたバスが。


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