過去ログ - 武内P「結婚するなら、ですか」
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991:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/20(火) 20:22:22.67 ID:t0wqhM/bo

「……」


 シンデレラプロジェクトの、プロジェクトルーム。
 カタカタと、キーボードを叩く音と、かすかに聞こえる時計の針の音。
 前者を奏でているのは、大柄で、とても誠実なプロデューサーさん。
 少し、お話をしてみたいと思って来たのですが、
とても忙しそうな様子に声をかけるのを躊躇い、今に至ります。


「……」


 あの人の、真剣な眼差しが私に向けられる事はありません。
 それは、私が彼の担当するアイドルではないから……です。
 もし……もしも、私がシンデレラプロジェクトのメンバーだったら、
と夢想してしまうのは、どうしてなのでしょう……。
 自分でも、その理由がわからず、混乱……しているのでしょうね。


「……」


 特に、これと言った用事があったわけではないので、
あの人の仕事が一段落し……私に気付いてくれるまで、待つ事にしました。
 私はここのメンバーではないと言うのに、今のこの静けさと、
規則的な針の音と、不規則なタイピング音が、とても心地良く感じるのです。
 安らぎ、とでも言うべきでしょうか。
 ここには、確かにそれがあります。


「……」


 ソファーに腰掛け、持ち歩いていた本のページを開きます。
 挟んでいた栞は、目の前のテーブルの上に。
 この手作りの栞を見たら、あの人はどういう反応を示すのでしょうか。
 褒めてくれると、きっと、とても――……とても? よく、わかりません……。


「……」


 座った場所は、彼が視線を画面から外したら見える位置。
 早く気付いて欲しいと思うのは……きっと、我儘なのでしょうね。


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