過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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112:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 14:30:20.94 ID:sXivYPE/0
「イヤなヤツだと思ったでしょう」
薄曇りの空の合間から夕日が差し込み、事務所の屋上から臨むビル群をうっすらと照らしている。
「元からあまり、良い印象は抱いていないから」
113:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 14:32:49.49 ID:sXivYPE/0
一瞬、プロデューサーの手が止まる。
「コンサートホールのスタッフというのは、そんな縦割りのお堅い考え方をするものなのね」
114:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 14:34:45.28 ID:sXivYPE/0
「――プロデューサーって、何歳?」
「そんな誰も幸せにならない事、聞いてどうするんだ」
初めて知る、プロデューサーの意外な側面。
彼には彼なりに背負ってきた人生があり、その中で培った信念が、どうやら無い訳ではないらしい。
115:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 14:36:50.26 ID:sXivYPE/0
「気づいてるでしょう? 私達、あなたをナメているのよ」
「だろうね」
堪らなくなって、私はとうとう声を荒げた。
116:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 14:38:59.92 ID:sXivYPE/0
「!? な――!」
怒りで我を忘れそうになる私に対し、プロデューサーは淡々と続ける。
「君も、前任からはなかなか手のかかる子だと聞いているよ」
117:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 14:40:57.60 ID:sXivYPE/0
「もちろん、手の掛からないに越したことは無いけどな。
君はともかく、宮本さんや一ノ瀬さんとか特に」
ハハハと笑いながら、プロデューサーはまたタバコの煙を燻らせる。
118:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 14:48:04.00 ID:sXivYPE/0
【3】
(・)
「いや、でもねアリさん。マジでこれは俺、マジで言いますけど」
119:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 14:49:39.06 ID:sXivYPE/0
「えぇ?」
「あるいはもうちょいあっちのキャバクラでもいいッスよ。もっと女を求めていかねーと」
「いやいいですよ。ちょっと金無いですし、今」
「いいーッス俺が出しますから! アリさんは1アリさんだけ出してくれれば」
「1アリさん?」
120:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 14:51:26.49 ID:sXivYPE/0
346プロの敷地内には、中庭を囲むように大きく3つの建物がある。
エントランスホールやラウンジ、専用のスタジオ等がある本棟。
社員の事務室や会議室が集積された事務所棟。
アイドル達のレッスン室やリフレッシュルーム等が設けられたレッスン棟だ。
121:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 15:00:17.73 ID:sXivYPE/0
昨夜のダメージを引きずりながら椅子出しをしている時、総務から内線がかかった。
今度開かれるサマーフェスの会場設営を担当する業者が、折り入ってお願いがあると、飛び込みで社までやって来たらしい。
事業課からも誰か一人打合せに出席をしてほしいが、一課も二課も皆出払っているとのこと。
122:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 15:01:53.87 ID:sXivYPE/0
必死に工期延長を懇願する業者側を、烈火の如く叱責する広報課さんと営業課さん。
その横で俺は、資料の余白にペンを走らせる。
今月の給料日までに、一日いくらで暮らしていかねばならないのか?
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