過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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370:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 23:57:17.29 ID:78VDBhPt0
 住宅街の中に入り込んでも、拓海さんのスピードは一向に緩まない。

「ちょっと拓海さん! もういい、もういい!!」
「何が!!」
「事故るって!! 警察だってもう来ない!!」
以下略



371:名無しNIPPER[saga]
2017/12/18(月) 23:58:58.30 ID:78VDBhPt0
 階段を飛び出し、アタシ達の体は宙に放り出された。

 差し詰めスキーのジャンプ台のようなその階段は、思っていたよりずっと段が多くて、一番下まではゆうに5mはありそうな高さだった。

 つまり――5mの高さからこのバイクは落ちるのだ。今この瞬間。
以下略



372:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:01:36.68 ID:Ae62FiCR0
 (♪)

 んー、フレちゃん予報だと雨降りそうだねーこりゃ。

 実際降ってるけど。
以下略



373:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:03:54.56 ID:Ae62FiCR0
【7】

 (♡)

 秩序とは、現実を覆い隠すための虚像。
以下略



374:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:08:00.13 ID:Ae62FiCR0
 自分が“天才”かどうかはともかく、“特殊”であるのは分かる。スペクトルの極限にいるという事を。

 幼い頃からそれなりにチヤホヤされてきたものだから、言い訳がましいけど、多少なり調子に乗るのも無理は無かった。

 おまけに自意識過剰で、傲慢で、言うこと聞かなくて、だのに何でも上手くこなせる存在は、万物平等を是とするコミュニティの中にあってはどうしようも無くうっとおしい。
以下略



375:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:13:38.80 ID:Ae62FiCR0
 海の向こうの退屈な講義に飽きて帰国したアタシの目に飛び込んできたのは、行儀良く並んだビルのとある一面。

 まるで花火のように、存在をこれ見よがしに主張する極彩色のモニターだった。

 次の瞬間気づいたのは、極彩色なのはモニターそのものではなく、それに映る会場と人であったこと。
以下略



376:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:16:32.64 ID:Ae62FiCR0
 本気を出したことが無い、なんてことは無い。

 ダッドと暮らしてた頃、彼はすっかりアタシが何でもできるものだと信じ込んで、無茶な要求を際限なく突きつけた。

 応えられなかった要求こそ無かったけれど、アタシでさえ常軌を逸していると思えたそれに、付き合うのはもうウンザリで、だから逃げた。
以下略



377:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:21:12.94 ID:Ae62FiCR0
 アイドルになるには、大きく二つの方法があるらしい。

 事務所に直接申し込んでオーディションを受けるか、スカウトされるか。

 後者の方が簡単だ。
以下略



378:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:22:45.05 ID:Ae62FiCR0
 彼の指示に倣い、強引に取り入ってその世界を覗き込み、分かったことは二つ。

 一つは、彼女達を夢中にさせるものの正体。

 トップアイドルという、魅力的かつ抽象的なそれは彼女達の夢であり、そこへ至るアプローチも様々だ。
以下略



379:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:24:43.62 ID:Ae62FiCR0
 どうやって? とアタシが聞くと、彼は真面目な顔を崩さずにこう言った。

「まず、君達には今度のサマーフェスで負けてもらいたい」

 正確には、高垣楓さんという人を優勝させたいのだという。
以下略



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