過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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380:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:28:26.02 ID:Ae62FiCR0
それで、キミもその甘い汁を吸いたいワケだ、と茶化したら、彼は首を振った。
「言っただろう、状況を変えたいのだと。
少なくとも、大人達の都合で彼女達が振り回されていくのを見るのはもう嫌なんだ」
381:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:30:19.99 ID:Ae62FiCR0
彼がアタシにその計画を告白した理由は結局聞けずじまいだったが、強引に推察するとこうだろうか。
「欲望こそ人の心の根幹であると、アタシに伝えたかった」とか、ね。
彼は真面目だ。協力を求めるからには、アタシに何かしらのギブをしたかったのだろう。
382:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:32:16.48 ID:Ae62FiCR0
計画は、思ったよりも原始的だったようだ。
誰かが音声プラグを引っこ抜くことで、アタシ達のステージを台無しにしようという算段だったみたい。
383:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:34:17.86 ID:Ae62FiCR0
あんなに上手くいくとは思わなかったし、楓さんが優勝しなかったのはそれ以外の理由もあったのだろう。
でも、一つだけ分かるのは、そう――とても楽しかったのだ。
384:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:38:03.07 ID:Ae62FiCR0
行動に対する責任を負うという覚悟が、アタシには足りていなかったのだと、気づいたのはその後だった。
想定外の事態を受け、混迷を極める上層部を尻目に、アタシ達は爆発的な人気を集め、サイコーに楽しい状態。
385:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:45:19.66 ID:Ae62FiCR0
こういう時に大事なのは、視点を変えること。
アタシをLIPPSの一員として存続させるケースを念頭に置くから無理が生じてくる。
では、アタシはLIPPSではないとしたら?
386:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:46:53.66 ID:Ae62FiCR0
――まーいっか! にゃっはっはー!
正しいかどうかはともかく、現状ではそこそこベストに近い手段ではあったはずだろうし。
アタシはいつも通り失踪し、彼女達は面目を保ってこれからも活躍し続けられる。
387:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:50:05.76 ID:Ae62FiCR0
「ん、アタシですか?」
「そうそうあのネ。ちょっと道が分からなくテネー困ってたのヨ。息子のウチを探していテネー」
話し方がゆっくりで、何やら不思議なイントネーションのおばあちゃんだ。
388:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:51:56.09 ID:Ae62FiCR0
まぁ、それならしょうがない。電車の駅まで連れてったげよう。
「アラ〜、いいのカイ? ありがとうネェ、おじょうチャン。東京にも良い人いるノネェ」
「アタシもぶっちゃけ東京に来てまだ日は浅いけどねー♪」
389:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:53:55.65 ID:Ae62FiCR0
「ところで、はて、おじょうチャンは、女子高生カイ? その歳で留学だなんて偉いワネェ」
ペースを合わせてゆっくり歩いていると、ふとおばあちゃんがアタシの服装を見て言った。
偉い?
390:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:55:22.98 ID:Ae62FiCR0
「――そっか」
当たり前のように言われると、改めて自分は他の人と違うのかと思い知らされる。
家族の絆さえ、アタシは育んで来られなかったことを。
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