過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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410:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 21:20:26.52 ID:Ae62FiCR0
「ふぅ。さて――」

 事務所に着く頃には、車軸を流すような大雨になっていた。

 本棟1階のラウンジに3人席を見つけ、そこに腰を下ろしたところで、ようやくチーフは一声を発した。
以下略



411:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 21:23:42.36 ID:Ae62FiCR0
「いいえ、最後まで聞かせてもらうわ」
 ここまで来て、事の顛末を私だけ知り得ないなんて許されない。
 何より、私の仲間――LIPPSのメンバーに関することなら、なおさら聞かせてもらう他は無いもの。

「あなたは、それで良いんですか?」
以下略



412:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 21:26:43.46 ID:Ae62FiCR0
「美嘉が――」
 私は、一瞬言葉を失った。
 あの子がゴリ押しで、というのも含め、そのような泥臭い時期もあったのかと、今更思い知らされた。

「ゴリ押しされずとも美嘉ちゃんは十分評価されるはずなのに、不自然な売り出し方になったのが僕には悔しくてならない。
以下略



413:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 21:29:37.03 ID:Ae62FiCR0
「彼女達は知っています。自分が大人達の勝手な都合に振り回されていることを。
 僕達プロデューサーが考えている以上に、彼女達は賢く鋭い。
 本当は、僕達に不満の一つでもぶつけてもらえたらどんなに楽だろう」

 気づくと、彼はテーブルの上に置いた拳を握っている。
以下略



414:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 21:32:33.90 ID:Ae62FiCR0
「どういう意味だ」

「ご存じの通り、この事務所は今や高垣楓に頼りきっている。
 彼女の起用を前提としたプロジェクトが未だにいくつもあるんです。
 それを絵に描いた餅で終わらせてしまったら、多方面の業界で信用が落ちるどころか、下手すりゃ廃業する末端企業まである」
以下略



415:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 21:37:48.09 ID:Ae62FiCR0
「その黒々しい“意見交換会”の現場を内部告発して、業界の裏側を暴くということか」
「えぇ」

 ただ――チーフに協力を依頼された志希は、サマーフェスで何をしようとしていたの?

以下略



416:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 21:42:06.87 ID:Ae62FiCR0
「真正面から高垣楓と戦って負けたのではなく、不慮の事故のために負けた――ということにしたかったのか」

 プロデューサーは、なぜかフフッと笑った。

「言い訳や予防線は、使い所さえ間違えなければ、その身を守る盾になります。
以下略



417:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 21:47:23.35 ID:Ae62FiCR0
「――クーデターってことか?」
 腕を組みながらプロデューサーが問うと、彼は手を振った。

「いや、そんな大それたものでは。
 ただ、一方的にゼロクリアだけして、影響のある人達に何もフォローしないというのは筋が違いますからね。
以下略



418:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 21:52:06.40 ID:Ae62FiCR0
「ぼ、僕は――」

 チーフは、今日初めて動揺した。

「僕は、美嘉ちゃんや卯月ちゃんに、償いをしたかったんです。
以下略



419:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 22:02:08.56 ID:Ae62FiCR0
「惚れますよ、そりゃ」
 アリさんと呼ばれた彼は、恥じることも、悪びれる様子も見せず、毅然とプロデューサーを見返している。

「彼女達のためになるなら、どんなことだってしたいんです。
 身を取り巻く環境を変える努力をしないのは、怠慢ですよ」
以下略



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