過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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582:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:37:24.67 ID:m6szqZZ10
「――その呼び方はやめてください」
「ハッハッハ、水くさいことを言うな、元気にしていたかね?
 ん? 君はもうここの職員じゃないのか」

 その爺さんは、何かの契約のための印鑑証明を取りに来ていたらしい。
以下略



583:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:41:36.14 ID:m6szqZZ10
 ――――。

 まさか、またここに来ることになるとは――。


以下略



584:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:43:51.27 ID:m6szqZZ10
 ピーというあだ名は、この人が付けたものだった。

 配属されて三ヶ月ほど経った頃、現場にてバーベキュー大会が催されたのだ。

 てっきり、車を出せる人ので数台乗り合わせて、どこかの河原か山で行うものとばかり思っていたが、全然違った。
以下略



585:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:48:16.99 ID:m6szqZZ10
「よーく洗っといたから心配すんな、ワハハ!」

 いや不衛生にもほどが無いっすか!? という俺の心の叫びは当然無視されて、宴会が始まった。


以下略



586:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:50:56.72 ID:m6szqZZ10
「そうそう! はぁ〜〜女っ気の欠片も無かったお前がなぁ、さぞかし楽しいだろ毎日、なぁ? ワハハハ!」

 扇子を扇ぎながら、その人は豪快に笑う。

 俺は閉口した。彼が思うほど華やかな世界ではない事を、彼に知ってもらう必要も無いように思えた。
以下略



587:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:54:05.76 ID:m6szqZZ10
 本来であれば、事務所に帰らなくてはならなかった。

 以前、役所で会った爺さんに紹介してもらった先生との約束が、明日にセッティングされていたのだ。

 対応を誤りたくはない厄介な相手なだけに、その準備はなるべく念入りに行っておきたかった。
以下略



588:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:56:40.15 ID:m6szqZZ10
 とにかく、今日はできる限り酒を飲まず、早く事務所に帰らなくてはならない。

 かと言って、ウーロン茶しか頼まない俺をこの人達が許すはずが無い。

 なのであの店員には、先ほどトイレに行くフリをした際、こっそりお願いしている事がある。
以下略



589:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:58:45.52 ID:m6szqZZ10
「――あれ?」

 フラフラになりながら事務室の扉を開けると、ちょうどアリさんが退社する所だった。

「お疲れ様です。ひょっとして、これから残業ですか?」
以下略



590:名無しNIPPER[saga]
2017/12/21(木) 00:00:52.98 ID:taHfCPeM0
「まぁ、僕達の仕事は、あまり暇なようでは困りますしね。彼女達のためにも」

 そう言って、彼は肩をすくめて、ニコッと笑う。

 聞くと、今日は外部のライブコーディネーターと当日の演出について協議した後、彼女達のレッスンに付きっきりになって、トレーナー達と今後の調整方針についてミーティングしていたらしい。
以下略



591:名無しNIPPER[saga]
2017/12/21(木) 00:02:57.90 ID:taHfCPeM0
 アリさんがコートを羽織り、マフラーを巻いて出て行くのを、ボーッと後ろから眺める。

 マフラー――?


以下略



592:名無しNIPPER[saga]
2017/12/21(木) 00:06:37.97 ID:taHfCPeM0
 こんな事をして、何になる。

 彼女達のためになるかどうかなんて、まるで分からないし、逆に足を引っ張っている可能性すらあるのだ。

 注目度が高まる事自体は悪くないが、必ずしもLIPPSを好いてくれる人の目にばかり留まるとも限らない。
以下略



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