過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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583:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:41:36.14 ID:m6szqZZ10
――――。
まさか、またここに来ることになるとは――。
584:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:43:51.27 ID:m6szqZZ10
ピーというあだ名は、この人が付けたものだった。
配属されて三ヶ月ほど経った頃、現場にてバーベキュー大会が催されたのだ。
てっきり、車を出せる人ので数台乗り合わせて、どこかの河原か山で行うものとばかり思っていたが、全然違った。
585:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:48:16.99 ID:m6szqZZ10
「よーく洗っといたから心配すんな、ワハハ!」
いや不衛生にもほどが無いっすか!? という俺の心の叫びは当然無視されて、宴会が始まった。
586:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:50:56.72 ID:m6szqZZ10
「そうそう! はぁ〜〜女っ気の欠片も無かったお前がなぁ、さぞかし楽しいだろ毎日、なぁ? ワハハハ!」
扇子を扇ぎながら、その人は豪快に笑う。
俺は閉口した。彼が思うほど華やかな世界ではない事を、彼に知ってもらう必要も無いように思えた。
587:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:54:05.76 ID:m6szqZZ10
本来であれば、事務所に帰らなくてはならなかった。
以前、役所で会った爺さんに紹介してもらった先生との約束が、明日にセッティングされていたのだ。
対応を誤りたくはない厄介な相手なだけに、その準備はなるべく念入りに行っておきたかった。
588:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:56:40.15 ID:m6szqZZ10
とにかく、今日はできる限り酒を飲まず、早く事務所に帰らなくてはならない。
かと言って、ウーロン茶しか頼まない俺をこの人達が許すはずが無い。
なのであの店員には、先ほどトイレに行くフリをした際、こっそりお願いしている事がある。
589:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:58:45.52 ID:m6szqZZ10
「――あれ?」
フラフラになりながら事務室の扉を開けると、ちょうどアリさんが退社する所だった。
「お疲れ様です。ひょっとして、これから残業ですか?」
590:名無しNIPPER[saga]
2017/12/21(木) 00:00:52.98 ID:taHfCPeM0
「まぁ、僕達の仕事は、あまり暇なようでは困りますしね。彼女達のためにも」
そう言って、彼は肩をすくめて、ニコッと笑う。
聞くと、今日は外部のライブコーディネーターと当日の演出について協議した後、彼女達のレッスンに付きっきりになって、トレーナー達と今後の調整方針についてミーティングしていたらしい。
591:名無しNIPPER[saga]
2017/12/21(木) 00:02:57.90 ID:taHfCPeM0
アリさんがコートを羽織り、マフラーを巻いて出て行くのを、ボーッと後ろから眺める。
マフラー――?
592:名無しNIPPER[saga]
2017/12/21(木) 00:06:37.97 ID:taHfCPeM0
こんな事をして、何になる。
彼女達のためになるかどうかなんて、まるで分からないし、逆に足を引っ張っている可能性すらあるのだ。
注目度が高まる事自体は悪くないが、必ずしもLIPPSを好いてくれる人の目にばかり留まるとも限らない。
593:名無しNIPPER[saga]
2017/12/21(木) 00:09:37.02 ID:taHfCPeM0
――納得かな。
そうだな、たぶん納得が欲しいんだろうなと思う。自分なりの。
俺はできる限りの事をしたのだ、それでも上り詰めることが出来なかったのならしょうがない、と言える――そう、言い訳が欲しかった。
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