過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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663:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 21:59:45.76 ID:vQzT5qlo0
 ようやく落ち着きを取り戻した城ヶ崎さんは、目尻に溜まった涙を指で拭う。

「もう、せっかく時間かけてメイクキメたのに、またやり直しじゃん」

 呆れるように笑いながら彼女は言うが、呆れてるのはこっちだ。俺のせいかよ。
以下略



664:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:01:35.61 ID:vQzT5qlo0
「おかしな事を、か――」

 否定も肯定もしないが、俺には君達にこう言うより他に仕方が無い。

 言っても無駄か――確かに、夢に燃える10代の女の子達に、消化試合しか残されていないおっさんの説教など、ナンセンスかもな。
以下略



665:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:03:55.89 ID:vQzT5qlo0
 塩見さんのお察しの通り、187プロの仕業と見て間違いないだろう。

 常務め、何が心配は要らないだ。危うくステージが台無しになるところだ。だから言ったのに――。

「ありがとう。俺が責任持ってスタッフに渡しておくよ」
以下略



666:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:05:37.88 ID:vQzT5qlo0
 訝しげにそれを見つめる俺に塩見さんが声をかけ、俺はようやく顔を上げた。

「あ、あぁ――あ、最後に」

 そういえば、一つ言い忘れていた事があったのを思い出した。
以下略



667:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:13:41.95 ID:vQzT5qlo0
 舞台裏に行き、スタッフに事情を説明すると、やはりLIPPSのCDだけが紛失していたらしい。

 平身低頭して謝るスタッフをなだめ、不審者にくれぐれも気をつけるよう依頼をして、俺は会場に向かった。


以下略



668:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:15:20.05 ID:vQzT5qlo0
 346プロのターンになった。

 さすが最大手だけあり、事務所の規模は、先ほどまで紹介された他社とは頭二つ以上違う。

 そんな事はどうでも良い。問題は――お、アイドル紹介だ。
以下略



669:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:19:57.35 ID:vQzT5qlo0
 最初は、塩見さんか――彼女は心配無いだろう。どうせ内容の薄い事しか話さない。

 ほら。彼女は意外と保守派で、必要以上の事はしないものだ。

 次は、城ヶ崎さんか――あぁ、彼女も問題無さそうだ。愛嬌も良いし、さすがにソツが無い。
以下略



670:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:21:30.85 ID:vQzT5qlo0
 346の番が終わり、次の事務所に映像が移ったのを見て、俺は思わず深いため息を漏らした。

 心臓に悪い――まだ出番でもないうちからこれでは、本番のステージではどうなる事か知れない。


以下略



671:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:24:34.63 ID:vQzT5qlo0
「舞台袖に一人しか立ち会えない?」

 唐突な説明に、思わず大きくなった俺の声が舞台裏に響いた。

「事前に申請いただいた方のみ、本番中の舞台袖での待機をご案内しておりますが―一。
以下略



672:名無しNIPPER[saga]
2017/12/22(金) 22:31:16.99 ID:vQzT5qlo0
「仕方がありませんよ、セキュリティ上の問題もあるようですし」

 しつこく食い下がろうとする俺をなだめるように、アリさんが手を振った。

「現に、先ほど我々LIPPSの音源CDが紛失したという事件もありました。
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