過去ログ - アラサーニートエリちとキャリアウーマン亜里沙
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912:名無しNIPPER
2018/11/05(月) 15:10:14.96 ID:GQesSRIl0
 天国に行くにしろ、地獄に落とされるにしろ、
 今までの生き方が理想的だったにせよ、俗物的だったにせよ、
 さすがに絢瀬絵里を虐め過ぎではあるまいかと嘆きたくなってしまう。
 ただ、この場で力尽きて崩折れてしまえば、本当にどうしようもない状況下に追い込まれてしまう。
 逃げ出したかった、誰かに助けを求めたかった、泣き出して叫びたくなった。
 早鐘のようになる心臓の音を聞かなかったことにして、涙目になって霞む景色を睨みつけるように、
 這いつくばるように前に進み続ける。
 どこかへ――ラウンジにでも繋がっているのだろうか、廊下の先に光が見え始めた。
 先ほどから、誰かの会話は聞こえるのに人一人見当たらない恐怖を覚え、
 これがスプラッタ映画とかだったら、安心した瞬間にミンチになっているだろうな――。
 そう思ってしまったらなんだか笑いに似た感情が浮かび上がってきた。

「本当にあの人はどうしようもない人です」

 亜里沙がいるのかと思った。
 周りを見回してみたけれど、壁とかの無機物がその場にあるばかり。
 豪華客船のラウンジの一部分にいるという状況は分かるけれど、
 なぜ自分がこの場にいるのか、なぜこんな状況下に陥っているのか、
 一つも分からないままに妹の――感情の籠もっていない……いや、
 私をひたすら侮蔑するような、この世に存在することすら不愉快だと忌み嫌うような、
 冷徹どころか、絢瀬絵里という存在を見たり聞いたりするだけで虫酸が走るというような、
 ここまで毛嫌いすることもないのではないかというような、亜里沙の声が聞こえてきた。
 彼女が誰かと会話をしている――聞きたくはないけれど、聞かなくちゃいけない。
 もし、もしも許されるのならば、心の裡を知って相手に理解を求めてみたい。
 それが血の繋がった妹にできることであろうから。
 
「あの人が私の家族というだけ――
 いや、血がつながっていると言うだけで不快で死にたくなります」


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