過去ログ - アラサーニートエリちとキャリアウーマン亜里沙
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948:名無しNIPPER[saga]
2018/11/18(日) 07:01:23.28 ID:j1GEu/ey0
「私よりもあなたが心配よ。想像したことのないものが見られると思うわ」
「ハードルを上げますね」
「だいじょうぶよ、たぶん軽く超えられるわ――嫌悪で」

 ロシアから日本に来た理由は、表向きではおばあさまの来日で。
 祖母が日本とロシアの往復が年齢を経るに従って厳しくなったというのと、
 年齢を重ねたので面倒をみなければならないという建前を使ったのだ。
 ほんとうは、ロシアで父が働いていた企業が経営難にあり、
 誰の首を切るのかという段階になって真っ先に彼がその対象になったのである。
 あの人自身が言う、自分が仕事で優秀だったという吹聴をどこまで信じれば良いのか。
 まあ、これっぽっちもあの人のことの言うことを信用したくないからどうでもいいんだけど。
 とにかく、ロシアで作った友人や生活を置いて来日とあいなって。

「時刻は……朝の9時くらいですか」
「ええ、私は音ノ木坂小学校に通っているころね」
「亜里沙さんは……家ですか?」
「そうよ。私はまだ日本語ができたから良い……いえ、
 妹は日本語が不慣れだったから、父が家から出したくなかったのよ」

 意味がわからないと言わんばかりに私を見るユッキ。
 そりゃそうだ。私だって今となっては意味がわからない。
 見栄であるとか、プライドであるとか――
 一つも分からない感情であるけれど、さほど能力も高くないくせに
 自分が他人から下に見られることが嫌いなあの人らしい下劣な感情である。
 ただ、あの人にとって見れば亜里沙や私が悪いのだ。


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