885:名無しNIPPER[sage saga]
2019/03/11(月) 22:10:06.65 ID:vwvkyAJfo
「それに……何故、此処に居る?」
会議室に、声が響く。
その声に……空気に、圧されそうになる。
しかし、お嬢さまはそれを望まないだろう。
私も、そう簡単に怖気づくようには出来ていない。
「……お嬢さまより、此処へ行けと言われました」
努めて冷静に、言葉を返す。
「だから来た……それだけです」
それを聞いた女は、一言――そうか、と言った後、
「ならば、私は君に用は無い。出て行きなさい」
と、私から視線を外して椅子に座ると、
置かれていたのだろう資料に目を通し始めた。
先程から漂っていた重苦しい空気は、まるで感じない。
それ所か――
――私が、まるで此処に居ないかの様に、女は振る舞っている。
「……!」
お前は、何だ?
一体、何の権限があって私に命令をしている。
私は、お嬢さまに命じられて此処に来た。
私とて、お前に用があった訳では無い!
「……聞こえなかったのか?」
女は、手元の資料から目を離すことなく言った。
私の相手などしている暇は無いと言わんばかりに。
「……もう一度言う。出て行きなさい」
女の視線が、再度私を射抜く。
「此処は、君の様な者が居て良い場所では無い」
視線に込められた感情は、好意的とはまるで真逆。
敵意とも取れるそれを向けられ、思わず半歩下がった……下がって、しまった。
だが、このまま引き下がるわけには行かない。
「……!」
私は、下がらされてしまった足を……逆に、半歩踏み出した。
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