過去ログ - 千歌「ポケットモンスターAqours!」
1- 20
883: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2019/05/10(金) 15:28:16.29 ID:Q+x1d3Jo0

善子「ヤミカラス!! もっと速く!!」
 「カァカァーー!!!!」


私は──白い息を吐きながら、ヤミカラスに指示を出す。

そう、白い息だ。

この真冬に吐くような白い吐息は、すぐに透明になって空気の中に掻き消えて行く。

──いい感じに温度が下がってきた。


善子「……っ もっと、加速しなさい……!!」
 「カァーー!!!!」


何故私の吐く息が白いのか……体感温度と言うモノを知っているだろうか?

同じ気温でも風が強い日は寒く感じる、アレのことだ。ただアレは寒く感じる、というだけではなく、実際に温度が低くなる。

風速が1m増すごとに体感温度はだいたい1℃下がると言われている。

高所なため、そもそも風はそこそこ強いのだが、それに加えて受ける風の速さはこちらが素早く動けば動くほど、相対的に速くなって行く。

ヤミカラスのような小〜中型の鳥ポケモンの飛行速度はおおよそ時速59km程度、風速に換算したら16.4m──つまり、今私たちは通常よりも16℃低い温度の中で飛行しているということだ。

そもそも、高い場所での戦闘。10℃にも満たないこのバトルフィールドだ。確実に氷点下である。

そして、ゲッコウガが“みずあそび”でフィールドに撒き続ける、水分は──


善子「……っ……」


速く飛べば飛ぶほど、私たちの体表に霜を降ろし、そして凍りつき始めていた。

……でも、それは同じスピードで追ってきているランクルスも同じだ。

 「ランクル…!!」

ランクルスの目を引く黄緑の体表も、パキパキと凍りつき始めている。


善子「速度を下げれば、逃げられる。速度を上げたら、凍りつく……! これが堕天使式、絶氷地獄よ!!」
 「カァーー!!!」

 「ランクルッ…!!!」


ランクルスはあくまで速度をあげながら、私たちを追いかけてくる。

ジムリーダーから詳細な指示が出来ないバトルである以上、最初からそういう風に指示を受けているんだろう。

なら、それはそれでいい。


 「ランクル…!!」


ランクルスが再び私たちを攻撃しようと、拳を握り締めようとする、が。

大きな腕部は次第に凍り始め、うまく握りこめないのがわかる。


善子「やっぱり……!!」


エスパータイプのポケモンはその場に突っ立ったまま、念動力で敵を理不尽に倒していくイメージがあるが、そんなことはない。

それぞれに固有のコンセントレーションを高める、“めいそう”の方法があり、そのルーティーンをこなさないと能力を十分に発揮出来ないのだ。

ユンゲラーがスプーンをかざすように、サーナイトが主人を想って祈るように、エーフィはその特徴的な二股の尻尾を立て耳を動かす。

そして、現在進行形で戦っているランクルスのサイコパワーを発揮するためのルーティーンは──


善子「その大きな拳を握りこむことでしょ!!」

 「ランクル……ッ!!!!」



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/1953.04 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice