10: ◆CaWSl75vrE[saga]
2015/06/28(日) 03:37:23.89 ID:823VgtnL0
「あの……司令、今日は美味しいご飯、ありがとうございました」
「え?あ、ああ、うん。どういたしまして」
秋月の深刻な表情を見ていたからか、拍子抜けしたような声の生返事になる。しかしすぐにも話の筋を合わせ、言葉を返す。
「よかった……秋月、なんだか悩んでるみたいだったからちょっと心配したけど…大丈夫そうで安心したよ」
「は、はい……すみません、わざわざこんな時間に…」
「ううん、秋月は気にしなくていいよ。私がやりたくてやってることなんだし」
提督の原動力の大半は、人への善意だった。困っている人が居れば、なんの躊躇いもなく救いの手を差し伸べる。自分への見返りも一切考えずに、ただ人を喜ばせ、誰かを幸せにすることこそが望みだった。
秋月に対してもそう。極度の貧困で空腹を満たすことすら出来なかったのを憂いてか、その卓越した腕前の料理を作っては秋月に食べさせていた。
秋月もまた、その善意に触れて提督に惹かれた者の一人。「美味しい」と言う度に実際に料理を食べている秋月よりも嬉しそうに笑う提督。自分が喜ぶことで相手も喜ぶ、それを繰り返すうちに秋月は提督へと惹かれていった。
しかし、当然、それは秋月一人だけではない。鎮守府全体の艦娘達が、彼女に惹かれている。性の壁を越えて愛される提督は、まさに魔性の女そのものだった。そのせいか提督の競争率は高く、たとえ夜であろうと二人きりになるということは難しい。
が、逆を言えば夜に二人きりになることが出来れば、提督を手中に収めたも同然。
秋月は、これを狙っていた。ずっと想い続け、いつしか恋慕へと変わっていった気持ち。それを今、伝えようとしている。
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