90: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/06/05(日) 18:28:53.58 ID:pCqT42gVO
「言えない……ごめん、でも」
「こうもり女。あゆむ、ほんと誰にでも良い顔しようとするよね」
当時の私なら、心に突き刺さる言葉だった。
ただし、今の私はこちらの話を聞かないみやちゃんに、腹も立つし、呆れもした。鈍感にもなった。
けれど、みやちゃんはそういう言葉を平気で口にしてしまうことも分かっていた。
しょうがない、という気持ちも強かった。
「仲良くしないでって、言ったのに……どうして分かってくれないの」
みやちゃんが私の肩を掴んで揺さぶった。
それから似たような文句を何度もぶつけられた。
それは余りにも勝手過ぎて、聞くに耐えれないこともあった。
「みやちゃん」
やすはが、みやちゃんを私からはがすように引き寄せた。
最後にみやちゃんが打った拳が私の肩に当たった。
少しよろけて、二人を見た。
賑やかな遊園地の喧騒が、ふいに耳に入ってきた。
過去のことだ。思い出の中のこと。
現実じゃない。
私が生み出した妄想。
だから、この痛みも妄想。
肩に触れた。
先ほど、観覧車でももちゃんが言った言葉が蘇る。
『私、あの女にこうも言ってやったわ。あんたなんて、本当の友達いないくせにって』
興奮して、頬を染めるみやちゃん。唇を結び、何も言わないやすは。本当の友達を繋ぎ止めるために作ったルールだったんだ。
大人になった今、常識と言う暗黙の規則さえ守っていればたいていのことは修復することができる。
自分のエゴを通せば、醜い大人のレッテルを張られる。大人は分かって欲しいなんてしがみついたりしない。
でも、みやちゃんからひしひしと感じるのは分かって欲しいという強い気もちだ。
それで、関係が滅茶苦茶になるとか、戻れないとか、きっとそんなこと考えちゃいない。
それはあの頃――本当は私が欲しかった衝動だった。
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