モバP「痛くなければ覚えませぬ」
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258: ◆ao.kz0hS/Q[sage saga]
2016/07/12(火) 23:45:47.20 ID:x66/Rbn10


  がちゃり


「あれ? 奏? まだ帰ってなかったのか」


さっき美嘉が出ていったドアから私たちのプロデューサーが入ってきた。
手には栄養ドリンク。もう定時は過ぎているだろうに、まだ仕事を続けるつもりらしい。


奏「あ、Pさん…。もう少し休んでから帰ろうかなって。Pさんはこれからもお仕事みたいね」

P「あぁ、でも今日はそんなに長くはかからなさそうだけどな」

P「……」キョロキョロ

奏「今事務所には私たち以外には誰もいないわ。だから…」


Pさん。
LiPPSのプロデューサー。
私のプロデューサー。
そして…。


奏「隣に座ったら?」

P「あ、あぁ…」ギシッ


そして、私の恋人。



私の恋路も人生もすべて終わってしまうと思ったあの日から数日、私は完全に引きこもった。
レッスンも仕事もすべてキャンセル。
生きる気力がなくなっていたのだから仕方がないわよね? 
対外的には病欠ということになっていたのだけれど。
プロデューサーが訪ねてきたのは引きこもって三日目のことだった。なんで初日に来ないのよ…。
しかも励ましに来たのならまだしも、傷つけた責任を取って退職する、だなんて。
あれほど頭に血が上ったのは生まれて初めてだったわ…。


女の子に途轍もない恥をかかせて気まずくなったら『はいさよなら』なんて許さない。
もし責任を取りたいなら他に方法があるでしょ。そうよ。私をキズモノにしたんだからアナタが責任をもって私を貰いなさいよ。
それも嫌っていうなら全部アナタのせいにして死んでやる。
どうなのよ。どっちにするのよ。


……。
思い返すだけでも恥ずかしくて死にそうになるわね…。
あんなにみっともない女、頭の軽い人向けの恋愛映画にだってそうそう出てこないんじゃないかしら。
今までそういう場面がなかっただけで、実は私ってヒステリックなのかも…。


そういうわけで結果として…過程には問題しかなかったけれど…Pさんは私の恋人ということになったのでした。

でも、メデタシメデタシとはならなかったのよね……。


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