60: ◆mZYQsYPte.[saga sage]
2016/06/30(木) 22:02:50.43 ID:GUujIImdo
空母棲姫「そんな弱気なことを言わないで……下さい」
大妖精「手を伸ばすべきはこの世界のルールでなく自分の現実だ」
空母棲姫「三位は沈みました……。お父様を慕いながらその想いも虚しく、トラックで」
大妖精「……トラック?」
空母棲姫「三位です! トラック泊地で沈んだ、序列三位の……!」
大妖精「八位、お前が取り戻したいのは本物の三位ではなくあいつなのか」
空母棲姫「……」コク
大妖精「……すまない」
空母棲姫「何故謝るのですか」
大妖精「仮に扉を開いたとして、魂の形を覚えていなければ取り戻すことは出来ない」
空母棲姫「……えっ」
大妖精「……あの者の魂の形を私は覚えていない」
脳裏をよぎったのは自らの創造主を気遣う三位の言葉と表情だった。
普段の強気な姿からは想像も出来ない優しい顔で、少しだけ恥ずかしげに心情を吐露する彼女の言葉と表情。
あの純粋すぎる……私にとってかけがえの無い彼女とはもう二度と会うことが出来ない。
その事実を突きつけられた時、自分の中で何かが崩れるのを感じた。
空母棲姫「どうしてですか。確かに彼女は愚かでしたがあんなにもお父様を慕っていたのに」
大妖精「それは他の者達も同じだ。私にとって特別では無かった」
特別ではなかった
三位はお父様にとって特別ではなかった
空母棲姫「……」
大妖精「お前たち以外は何もいらない。どうだっていい」
どうだっていい
お父様を慕う三位はお父様にとってどうだっていい
大妖精「……私の今の願いは人類を滅ぼすことでなくお前たちと一緒にいることなんだ」
…………………………
大妖精「私を見てくれ」
もう視界は乱れはしなかった。私はお父様の言う通りに、落ち着いた気持ちのままお父様を見ることが出来た。
大妖精「本当の私は大妖精なんかじゃなくて……小さくて弱い一匹の妖精なんだ」
よく見れば、彼の身体は痩せ細っていて表情からは長年の重責の積み重ねによる疲れが見えた。その目には涙すら浮かべていた。
きっと本当の自分を曝け出す怖さに涙しているのだろう。
ならば手の中の彼が本来臆病な性根であろうことは言葉にするまでもない。
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