13:名無しNIPPER[saga]
2016/07/03(日) 00:50:15.05 ID:1a597gsV0
まゆ
「……文香、さん……? Pさんを匿ったのは、あなただったんですかぁ……?」
文香
「ええ……誰にもわからない場所に隠す、という意味で匿ったのは私ですが……やはり生きてらっしゃったんですね」
まゆ
「あら、お見通しだったんですかぁ?」
文香
「焼身自殺というのは、誰かに訴えるためにするものですから……それに本当に自殺するとしても、わざわざ火を使うような方法を使うような人とは、とても思えませんでしたし……」
まゆ
「うふふ……そうですね。本当にまゆが死ぬとしたら、誰にも知られない場所でひっそりと首を吊りますよぉ……でも、なんだか嬉しいです。まだ、まゆのことをわかってくれる人がいるなんて……」
文香
「……でも、どうしてあんなことを? みんな泣いていましたよ?」
まゆ
「……プロデューサーさんに会うためです。まゆが死ねば、きっとお葬式に来てくれると思ってました。だから公開葬儀にしてくれるよう遺書にもちゃんと書いたのに……でも、たくさんのファンの方が泣いてくれて……まゆも泣いてしまいました。ただ、まゆが一番来てほしかった人は来てくれませんでしたねぇ……ふふふ……ねえ、どうしてなんですか、Pさぁん……どうして、まゆのために泣いてくれなかったんですかぁ……?
どうしてそんな顔でまゆを見るんです……? 苦しそうな、まるで自分の方が辛いんだと言わんばかりの顔で……ねえ、Pさん。一目ぼれだったんですよぉ? あのころは毎日が夢のようで……もっともっと、一緒にいたかった。あなたに出会うまで運命なんて信じてなかったのに、あなたを見た瞬間、これが運命だと確信したんです。目を閉じても、あなたの顔がまぶたに焼き付いて離れない。そんなになるまで誰かを好きになるなんて信じられませんでした。ねえ、Pさん。大好きです。今でも大好きです。口にするだけでほっぺたが赤くなるのがわかるくらい、大好きです。どれだけ言っても足りません。大好きです。大好きなんです。あなただけが。あなただけを。
信じていました。まゆの薬指には紅い糸があるって。永遠があるんだって。Pさんがいなくなっても夢のような毎日は続きました。Pさんがいつ帰ってきても最高のまゆでいられるように、毎朝お洋服で悩んで、あなたのためのお弁当を作って……ずっと好みを研究してたんです。かわいいなって、美味しいなって言ってもらえるように。ときどきは寂しくなりましたけど、でもそんな時は目を閉じて、あなたの横顔を思い出すんです。二人きりのときでもふっと見せる、明日の向こうを見ているようなステキな目を……
あなたはもういないのに、どんどん好きになりました。心の中で気持ちがどんどん大きくなって……そのうちに夢を見るようになりました。Pさんがまゆのことを『好き』って言ってくれる夢です。お互いに好きを繰り返して……ぎゅっと抱き合って、キスをする……そんな毎日を繰り返していたら、ある日聞こえるようになったんです。『大好きだよ』っていう声が。どんなに離れていても。どんな時でも。まゆの胸の中に響くようになって……そのたびにまゆも、大好きだよって叫びたくなりました。いつでも。どこでも。あなたを感じるたびに心臓が震えました。
でも、あるとき信じられなくなったんです。こんなにも好きなのに、『大好きだよ』って言ってくれるのに、どうしてPさんはいないんだろうって……だから確かめたんです。身寄りのない、まゆと同じくらいの女性の遺体をお金で買って……その時は疑っていませんでした。まだ夢を見ていたんです。Pさんはきっと来てくれるって。夢でも、現実でも、愛しくてたまらないあなたにやっと出会えるって。そしたらもう二度と離れないように、ずっと放さないように、抱きしめて、抱きしめてもらって、こうささやくつもりでした。アイシテルって。
でも、あなたは来なかった。本当に、夢だった。まゆが見ていたのはすべて白昼夢で……紅い糸は、あなたに繋がってなんかいなかった……まゆに残ったのは、切れてしまった糸だけ。もう声も聞こえませんでした。でもまゆはそれを信じたくなくて、探しました。必死になって。たくさんたくさんお金も使いました。そして……やっと見つけたんです、Pさぁん……今度はもう逃がしたりなんかしませんよぉ?」
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