茄子「おやすみなさい、プロデューサー」
1- 20
5:名無しNIPPER[saga]
2016/07/03(日) 00:40:58.40 ID:1a597gsV0
志希
「……そう、プロメテウスの火。知ってる?

 昔々あるところに、プロメテウスという神様がいました。

 プロメテウスは、獣に怯え、寒さに震え、食べることもままならなかった人間を憐れんで、火を与えました。

 人間は火の力を得たことで文明を作りました。だがぬくもりを知ってしまった人間は、更なる温かさを求めて、互いに武器を持って殺し合うようになります。

 プロメテウスは人間に火を与えた罰として、カウカーソスの山頂に磔にされて、生きたままハラワタを鷲に啄ばまれ続けましたとさ。ちゃんちゃん。

 まあこういうあらすじなんだけど、火っていうのは、人類の生存、ひいては文明の発達に貢献してきた一方、一歩間違えればすべてを焼き尽くしてしまう力を持っている。

 だからプロメテウスの火っていうのは、人間では制御しきれない力の暗喩になってるんだよ。

 ――そう。キミはプロメテウスだった。みんなの心に火を灯した。

 アイドルとして自信を与え、挫けそうな心を叱咤して、逃げ出しそうになれば手をつかんで引っ張った。

 励まして、支えて、寄り添って。そうしてただの女の子はアイドルになってしまった。

 小さな恋の火は大きく燃え上がり、やがてその身を焼き尽くした。愛も憎悪も等しく延焼し、災禍を振りまいて、灰被りの女の子は、ただの灰になり果てた。

 ――そう、ここがキミのカウカーソス山。小さな火を与えた、その代償。あたしも、灰になったその一人。

 制御できるはずだったんだよね。あたしの中の火は、小さくて、弱くて、不確かなものだったから。

 でもダメだった。できなかった。きっと事務所で最初に気付いたのは、あたしだと思う。

 ある日、ちひろさんからキミのニオイがした。それでわけわかんなくなって、事務所のソファでぼーっとしてたら、凛ちゃんが入ってきて……あとはもうダメだった。未央ちゃん、まゆちゃん、美優さん、留美さん、光ちゃん。それでちょっとしてから早苗さん。

 みんな、キミのニオイがついてた。みんな、嬉しそうだった。

 ……そのときね、気付いたんだ。キミのニオイを嗅ぐだけで胸がぽかぽかするのは、あたしがキミを好きなんだからって。

 気付いたらね、もう止まらなかった。胸のあったかいのが、一瞬で炎になって、あたしを焼き尽くした。

 それからはね、ずっと機会をうかがってたんだよ。うん、だから卯月ちゃんたちには感謝してる。

 凛ちゃんたちからキミを引き離してくれたのは好都合だった。キミが逃げられないようにマンションをフロアごと買い取ってここを作ったのは驚きだったけど、ドアを溶接して窓を強化ガラスと交換しただけじゃ詰めが甘いよね。

 ドアの強度なんてたかが知れてるんだから、テルミットでも抜けない程度に厚みを持たせた鋼板を用意しないといけないのに」



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
31Res/39.67 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice