6:名無しNIPPER[saga]
2016/07/03(日) 00:42:25.45 ID:1a597gsV0
志希
「……さて、おしゃべりもここまでにしよっか。そろそろ効いてきたでしょ?
うん、そう。さっきプシュっと吹きかけたやつ。志希ちゃんじるしの惚れ薬。
人間の五感は基本的に視床下部を通してそれぞれの感覚野につながってるんだけど、嗅覚だけは人間の本能を司る大脳辺縁系に直通してるんだよね。その大脳辺縁系の前帯状皮質と側坐核に作用して、認知機能を低下させると同時に特定対象への情動を増幅させる効果があるんだ。
あ、不安そうな顔だね。大丈夫、臨床試験はやってあるから。……誰にって、もちろんあたしだけど?
脳機能に直接影響を与える薬品をいきなりキミに使えるわけないし、人に使って観察する時間もなかったから、手っ取り早く自分で人体実験しただけ。
おかげでキミのことがもっと好きになったわけだけど……にゃはっ。
ほらほらー、もう考えるのも辛くなってきたでしょ? そして志希ちゃんのことがどんどん好きになる。なった? もともと好きだった?
じゃあ、いい感じに動きが鈍くなってきたところで、そろそろ行こっか、プロデューサー。
どこって……うーん、どこだろうね。さすがの志希ちゃんでもこればっかりはわかんなーい。にゃはっ。
それはとても近くて、けれど限りなく遠い場所なんだよねー。
きっとすべてのヒトはそこからやってきて、そしていつかはそこへ還るんじゃないかな? まあ俗に言う輪廻ってやつ。
……んー、嫌だよ? やめない。
絶対に嫌だから。あたしは嫌なの。
凛ちゃんたちとは違う。卯月ちゃんとも違う。
あたしは絶対に嫌。キミを渡すくらいなら死んだ方がマシ。
キミだっていやでしょ? 永遠にハラワタを啄ばまれ続けるの。
でもこうでもしないと、鷲たちは永遠に追いかけてくる……だから選択肢はないんだよね。
安心していいよ。苦しくないし、寂しくないから。なぜなら志希ちゃんが一緒だもん。ずっとずっと一緒だから。
ダイアモンドは永遠っていうよね。そして灰はダイアモンドの同素体。つまり、そういうこと。
二人で一つの灰になる……そう。あたしのプロメテウスの火で。目を閉じて、あたしを抱きしめて。そう……すぐに終わるから」
――じゃ、行こっか。二人で。検証不能の、無限遠点へ。
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