善子「彼女とゲヘナへ堕ちたなら」
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53: ◆wOrB4QIvCI[sage]
2016/07/17(日) 03:22:52.69 ID:Os4DEw890

 私のすぐそば、まるでイルカのように軽快な動きで海面に顔を出してきた。



梨子「もう、なに考えてるのー!!」

善子「だって、やっぱり入りたかったんだもの。どうせ濡れてたし、いいでしょ?」


 額に張り付いた髪の毛を剥がしながら、犬歯を見せる。

梨子「そういう問題じゃないよお」

 いつもいつも、振り回して……まったく。


梨子「うぅ、冷た……早く浜にあがろ?」


善子「ちょっと待って」

善子「上見て」


梨子「え?」

 よっちゃんが上を差しながら、感嘆の声をあげる。雨粒を顔に受けながら、大きな目を、見開く。

梨子「どうしたの!?」

善子「いいから見てっ」

 私もよっちゃんと同じように、生暖かい雨を受けながら、夏の夜空を見上げる。

梨子「わ……」


 ――綺麗だった。

 確かに雨は降り続いている。私のまつげは雫を垂らし、少し目の中まで入り込んでくる。そうやって見上げた夜空に、映り込んだのは、満天の星空だった。


 目元に雨が打ち付けるせいだろうか。一つ一つが万華鏡のように、大きく強く輝いている。焦点の定まりにくい視界のなかで、そのどれもが違う輝きを、放っていた。


梨子「なんで雨なのに、星が見えるの?」


善子「天気雨の夜バージョンなんじゃないかしら」


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