20: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 13:21:23.87 ID:Li1QhE+X0
頭をゆすられ、目の前がくらくらと回る。
それだけで、私は地から足が浮いたような感覚になり平衡感覚を失った。
どちらが上か下か分からずに、おばさんと一緒に道路になだれ込む。
遠くから男の人の声。たぶん、おじさんだ。
「どうして、この子だけ……ッどうして……」
おばさんが言っているのか。
うっすらと見えてきた視界に、おばさんを取り押さえるおじさんとナツの姿があった。
こちらを睨んでいる。
「おば……さん」
ナツがおばさんからゆっくりと身を離す。
おばさんは、しだいに泣き始めてしまい、出た時と同じような勢いでまた家に戻っていった。
私はナツに手を引かれて、そこから逃げるように去った。
息を荒げながら、近くの小川のそばに腰を降ろした。
「びっくりした……」
私は言った。
殺されるかと思った。
あんなに大好きだったおばさんに。
いつも、笑って、手を振ってくれていたのに。
私は、体が震えていたのに気づいて、膝を抱えた。
「あんなに、優しい人だったのに……」
「状況が変わったんでしょう。あなたは、娘の友だちではなくなった。娘の死を受け入れられないあのおばさんの良い標的になった」
「なんで、そんなこと言うの」
「本当のことでしょう」
他の家にも回ろうと思っていたのに、これでは行けない。
怖い。
「生き残ったあなたは、何も悪くはない。生きる力のなかった者が死んでしまった。それだけです」
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