21: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 13:44:33.85 ID:Li1QhE+X0
淡々と語るナツ。
顔を上げた。
ナツが私の瞼に手を伸ばす。
びっくりして目を閉じた。
「泣いてますよ」
涙をぬぐわれたのだ。
「ッ……」
すぐにポケットからハンカチを取り出して、目元を抑えた。
私以外の子どもは、本当にいなくなってしまったのだ。
この場所でいつもサッカーをしていた少年たちも。
夏場になると、いつも一生懸命にセミを追いかけていた兄妹も。
山の上にある墓地にみんな入ってしまっている。
「ほんとなんだ。ほんとだったんだ」
私は言い聞かせるように呟いた。
「みんな死んじゃったんだ」
死は哀しみ。
涙を誘うもの。
そういうものだと思っていた。
けれど、今、自分が感じているのは、
自分だけが生きているという後ろめたさだった。
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