25: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 15:21:27.01 ID:Li1QhE+X0
ナツは家族を知らないんだ。
生きることを教えられても、与えられなかった。
教えられたのに、奪われる所だった。
だから、家族になる必要を感じない。
でも、美味しいご飯と、温かい寝床と、キスだけは知っている。
それが生きるために必要なことだと。
身をもって知っている。
「ナツ」
ナツの背中に向かって、名前を呼んだ。
「お姉ちゃんになってよ」
「なるのとならないのとで、何か変わるんですか」
「うん、ご飯も寝床もキスも全部楽しくなるはずだよ」
「そうでしょうか」
「そうだよ」
「なれるかわかりませんよ」
「いいよ、それで。だって、私達はどう転んでも血は繋がってないし、似ていないし、姉妹にはなれっこないもの」
「では、なれないのでは」
「違うよ、なれるとかなれないとかじゃなくてね、それに向かっていくだけなの」
「そう……」
ナツが呟いた。
呟いた言葉には、人の色があった。
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