32: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 16:44:12.27 ID:Li1QhE+X0
「ナ……ッツ」
「あの子か、あの子なあ、うりぼーと気持ちよさそうに眠りよったけえの。起こしたげるのも可哀相やろう?」
「や……ッ」
呼吸ができなくて、しだいに胸の辺りの苦しさが増していく。
焦って必死に空気を取り入れようとしてもどんどん抜けていった。
おばさんの死神のような形相をただ目に焼き付ける。
ただ、生きているだけで恨まれることがあるんだ。
でも、私はそれに屈したくない。
美味しいご飯を食べて、温かい布団で寝て、キスをしたりされたり。
そんな普通のことを大事にする人に出会ったから。
それを一緒に感じていたい。
バシンッとおばさんの横っ面が先の尖ったもので叩かれた。
「ひあッ!?」
おばさんがぐしゃりと倒れた。
ナツだった。
「ナッ……ごほッ……げほッ」
声は上手く出ず、代わりに咳き込んでしまった。
ナツは再度日傘を振り上げて、何度も何度もおばさんに叩きつけた。
日傘を反転させ、鋭利な先端を足に突き刺す。
おばさんは大きく悲鳴を上げて、転げ回った。
日傘は衝撃で折れてしまった。
にもかかわらず、ナツはその後もおばさんを殴り続けた。
「ナツ、もう、いい! 止めて! おばさんが死んじゃうっ!!」
ナツは私を睨む。
びくりと肩が震えた。
その目は、生きる価値があるのかと、私に問うていた。
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