8: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/07/27(水) 10:28:27.97 ID:Li1QhE+X0
診療所の前の道路は、太い木の根がアスファルトを突き破っていた。
生い茂る大木の木の葉が、二人の上に影をつくる。
なんとかまたいで、ナツにしがみつくように歩いた。
目覚めてからすぐにリハビリをしたおかげか、支えがあれば歩くのにそこまで支障はない。
桟橋にはすぐに着いた。大きな池に設置されたそれは、今や誰も使っていないのが一目で分かる程古びてボロボロになっていた。
板の下から草木が伸びて葉先が少し褐色に染まっていた。
萎れかかった白い花がくたびれていた。
ナツがそれをじっと見ていた。
「あれは、ユリの花だよ。夏に咲くんだけど、今年は暑かったからすぐにやられちゃったのかもしれないね」
と、説明してあげた。
そうですか、とナツは興味があるのかないのかやはりよく分からない返事をした。
もともと、ここに公園を作る予定だったみたいだけれど、
途中で計画がとんざしてしまったらしい。
だから、たくさんの花が四季折々で咲くはずだったのに、今は生命力の強い花だけが生き残っていた。
近所の子ども達とよく遊びに来ていたことを思い出す。
「ナツは、どうして一人になったの?」
そんなことを聞いていいのか。
でも、彼女を構成する根本的な部分が知りたかった。
反応が無かったので、返答に困っているのかと思ったので、
「あ、言い難かったらいいからねっ」
と慌ててつけ加えた。
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