146: ◆GXVkKXrpNcpr[saga]
2016/09/24(土) 04:39:07.02 ID:pCr1Cam0o
展望台に近づくにつれ苦痛は薄れた。
ベンチに座りたかったが空きが無く、塔をぐるりと囲んだ芝生の広場に座り込んで膝を抱えた。
(たぶんこの塔の上)
快い感情の応酬、深いレベルの交感、目をつぶってしばしその流れの中で憩う。
(楽……それにあたたかい)
(どこも痛くない)
安堵の涙が出た。
鼻をすすりあげながら、青い魔法少女が与えてくれたグリーフシードを取り出してみる。
ソウルジェムの穢れは進行するにつれそのスピードを増したので、すでにもう何回か使ってしまっている。
(もうこれダメそうだな……)
どうしたものかと考えていると覚えのある空虚なものが近づいてきた。
「やあ」
「気味が悪いね。あんたはなんでそんなに空っぽなの」
「そうか君はエンパスだったね。僕らには感情がないんだ」
「そんな不気味なやつだって知ってたら契約なんかしなかったよ。なにしに来たの?」
「そいつを回収しよう。放っておくとそこからまた魔女が孵化する」
「あっそ。じゃあほら」
ぽいと投げてやるとグリーフシードはその背中に吸い込まれた。
「うげえ、ほんとにきもちわるい」
「そうかい?」
「私はどうして放っておかれたの? ほとんどなんの説明もなくフォローもなく」
「そうだね。聞かれたから答えるけれどもっと早くに君は魔女に殺されるか
あるいはソウルジェムを濁り切らせて魔女になるはずだったんだ」
「え……? 魔女になる?」
「君レベルの素質の子には本来契約を勧めないんだよ。ほとんどメリットがないからね」
「じゃあ、私はなぜこんな身体にされたの? 苦しくて仕方がないよ、これ」
「魔法少女を増やしてワルプルギスの夜を発生させたかったのと、力量のある子たちへのグリーフシード供給のためだね」
少女は肩を震わせて笑った。
「は……魔女へのマキエか魔法少女のエサってか。めちゃくちゃ有意義だね」
ソウルジェムが限界を迎える。
「ま、これでやっと楽になれるのかな」
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