227: ◆GXVkKXrpNcpr[saga]
2016/11/22(火) 18:26:26.85 ID:TcD/Xdsko
「あなたたちって、本当に感情はないの?」
「君たちの思うようなものはないと断言できる」
マミは続きを待った。QBの話し方のリズムにすっかり慣れてしまっている。
「僕らに感情がない、ということが信じられないんだね」
「あなたと話していると感情を持っているとしか思えないことがあるの」
「感情はないよ。そう言うと君たちは僕らに心がないと受け取るんだね。不安定なことこの上ない自分たちの感情を心だとする。感情に支配されそのめまぐるしい変化が精神の状態に大きく作用する。本当に危うい生き物だね。
まあ、だからこそ得難いエネルギー供給源になり得るのだけれど」
「あなたたちの言う心って何?」
「思考活動のことだよ」
マミは少し食い下がりたい気持ちになった。
「驚きや悲しみや怒り、好奇心や喜びを感じることがまったくないの?
どうして生きていられるのか不思議だわ。あなたたちを動かすものは何?」
「前にも言ったと思うけれど、探究心が大きい」
「知りたいという欲求でしょう。それは感情とは言わないの? そして知り得た時の喜びや達成感もないの?」
「君たちのフィールドで、君たちの言語を使って僕らについて説明するのは無理がある。
相互理解の困難さについては常々思い知らされているよ。それでもなんとか使えるツールを最大限使って効率よく伝えようとしているんだけどね」
「はあ……あなたは何を言っているの」
額に揃えた指先を当ててマミがまたため息をついた。
「私たちと理解し合おうなんて思っていないのでしょう?」
「いいや、有史以来努力し続けているしこれからもそうするつもりだよ」
「宇宙の熱的死を遅らせるため?」
「そういうことだね」
「働きものなのよね、あなたたちは。そうやってコツコツといつまでも私たちの命を搾取し続けるの?
そんな生き物同士の間にどうして相互理解が必要なの?」
「必要だよ。これは取引なんだから」
「公平な取引ではないわ。あなたたちの取り分が大きすぎるもの」
「君たちがそう思うのも無理はないが、僕たちにとってはまったくそうではない。
君たちの望む対価を見合う分だけちゃんと支払っているじゃないか。それに君たちは数が多い。ダメージはごくわずかなはずだ」
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