299: ◆GXVkKXrpNcpr[saga]
2017/04/05(水) 13:08:42.36 ID:AjtdeEYho
眠りに落ちる最後の瞬間それを想ったせいかもしれない。妙な夢を見た。
ほむらは一面の花畑をひとりで歩いている。空に太陽も月もなく、ただ薄明るい。夢だという自覚はあって、安らかな気分だ。
彼女の周りをふらふらとつかず離れず、蛍の群れが飛んでいる。
ほむらはそれらを蛍だと認識したが、都会育ちの上に病弱でほとんど野外活動の経験がない彼女は蛍という昆虫を実際に見たことはない。もし杏子がこの場にいたら「これは蛍じゃない。こんなに明るくも大きくもない」と指摘しただろう。
「大体、虫の姿が見えないじゃん」
しかし杏子はいない。ほむらはその正体について特に気にもしない。夢だから。
たくさんの光点と一緒に花畑の中を伸びる細い一本道を辿り、緩やかな丘陵を越えていくと眼下に大きな川の流れが広がった。
彼岸花の群生する土手から素朴な石段を使って広々とした河原に降り、流れの側まで歩いた。蛍の群れはそのまま対岸へ向かって飛んで行った。
(花畑、暗い川……縁起がいいとは言えないわね)
向こう岸は靄がかかっている。
中州があるようだ。と言うのも、川の中程に巴マミが立っているからだ。こちらに気付いて柔らかい笑みを見せ、水面を滑るようにやってくる。
ほむらは驚いて言った。
「浮いているのね。幽霊みたい、巴マミ」
そのほむらにマミは笑顔でこう答えた。
「きゅっぷい」
そうね。夢だものね。
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