306: ◆GXVkKXrpNcpr[saga]
2017/04/05(水) 14:51:33.07 ID:AjtdeEYho
そこはいつもの病室で、天上に部屋の中をまんべんなく見渡せる半球状のカメラがある。中で丸く赤い光がキョロキョロと動いている。
腕の内側に点滴の針がテープでしっかり固定されていた。そこから延びたチューブは点滴台にかけられたパックに繋がっており、決められた分量の薬液をほむらの体内に送り込む。
ドアが遠慮がちに開いて看護師が入ってきた。ベッドの足元から回り込んで点滴台のデジタル表示を確認し、手元のボードにさらさらと何か書き込んでトレイをベッド横のテーブルの上にそっと置いた。
部屋の窓は遮光カーテンが引かれて薄暗く、元々目も悪い。だから看護師の顔はよくわからなかった。ほむらは「今何時ですか」と尋ねた。
「あ、起こしちゃった? もうすぐ七時だよ
気分は? 喉乾いてない? お腹空いてない?」
「朝の?」
「もちろん朝だよ」
「そうですか」
優しそうな人だったので、ほむらは天井のカメラのことを頼んでみた。
「できれば、カメラを切ってもらえませんか? 気になってしまって」
「え? なんのこと?」
「天井のあれです」
(天井のあれって何? っていうかどうして敬語……?)
彼女が指差すなんの変哲もない自室の天井を見上げて、まどかは困ってしまった。とりあえず調子を合わせることにする。
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