3: ◆ao.kz0hS/Q[sage saga]
2016/10/07(金) 20:25:50.83 ID:mFpjnES+0
バックヤードで着替えと化粧直しを済ませて数十分ぶりに客席に戻ったのだが、テーブルの上は私がステージに立つ前と変わっていなかった。
どうやら私のステージ中、彼はおつまみにも飲み物にも手を着けていなかったらしい。
P「お疲れ様でした、あいさん。演奏、とっても良かったです」
あい「ありがとう。私もいつになく愉しかったよ」
なんの因果か、普段はアイドルとして煌びやかな世界に生きているが、ふとしたとき無性にこういう世界に浸りたくなることがある。
そんな欲求を発散させてくれるこの場所には本当に感謝しているのだ。
あい「好きに飲み食いしていてくれと言ったのに。まったく君は律儀だな、フフッ」
P「いえ…、あいさんのステージだと思うと、プライベートでもどうしても真剣になってしまって…」
あい「…そうだな。Pくんの熱い眼差しは感じていたよ。ただでさえ気分の高ぶるステージだというのに、君の視線のせいで体が熱くてしょうがなかった。私をこんなに興奮させて君は一体どうしようというんだい?」
P「んふっ!? あ、あいさん、またそんなことを言って…」
いつもの少しだけ際どいやりとり。
初めのころは面白いくらいにたじろいでくれたのに、最近では耐性ができてしまったのか、以前ほど賑やかな反応は見せてくれなくなってしまった。
それどころか…。
P「…ステージのあいさんが素敵すぎて目が離せなかったんですよ。出来ることならもっと間近で興奮したあいさんを見たかったなぁ…あはは」
あい「そ、そうか…それは流石に…困るな…」
それどころか、切り返してくることもある。
ジワリとした胸の奥のかゆみを努めて無視する。
ここが薄暗いバーで良かった。
多少顔色が変わったところで見咎められることはないだろうから。
あい「…で、では改めて、乾杯」
P「乾杯」
逃げるように乾杯で場を仕切りなおした。
グラスを軽く掲げて口をつけ、柄にもなく一気にカクテルグラスを空にしてしまう。
あい「んく、んくっ……ふぅぅぅ……」
P「あいさん、ペース早くないですか? そんなに強くないんですから無理しないでくださいね?」
あい「あぁ、大丈夫。これくらいなら、全然、大丈夫だよ」
とはいえ早速、胸が熱を持ち始めていた。耳もほのかに熱い。
皮膚の上に一枚薄い膜を張ったような感覚がある…だがこれを期待していた。
今日は彼に話したいことがあるのだが、いささか緊張する話なのだ。
私にもお酒の力を借りたいときはある。
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