本田未央「絶対に許さない」
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5: ◆Freege5emM[saga]
2016/11/03(木) 22:55:29.92 ID:5It74+0Mo

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きっかけは突然だった。
ある日、宣材写真の撮影前に、未央が体調不良を訴えた。

撮影は慣れていたはずだった。
カメラマンも、撮影所も、何度かお世話になったことがある。
なのに未央は顔面蒼白で、声や指先が震えていた。

プロデューサーは、体調不良が未央の方便だと気づいたが、
どのみち撮影は不可能と判断。やむなく中止した。

自分が原因で撮影が潰れることとなり、未央は責任感から激しく動揺した。
プロデューサーは未央をなだめ、理由を探った。

『未央にも事情があるだろ。それを周りに説明して納得させるのは、プロデューサーの仕事だ。
 ただ、そうやって未央を守ってやりたいから、未央の事情を少しでも知っておきたい』



少し時間を置いて、未央は口を開いた。

『私の……学校の、友達が……』

未央の高校の友人が、性犯罪の被害にあって不登校になってしまった――
と未央がほのめかしたところで、プロデューサーは彼女の言葉を押しとどめた。

けれど未央の言葉は、溢れ出した水のように止まらない。

『お、男の人の、目が……』

全国ニュースにはなっていなかったので、
その性犯罪が客観的にどの程度の重さなのか、
レイプなのか痴漢なのか覗きなのか下着泥棒なのか、それは分からなかった。
ただ、その軽重は未央にもプロデューサーにも重要ではなく、

『怖い、こわい、よっ……あ、あっ――なに言ってるんだろ、私……』

男の性欲は、法の縛りを破って女を蹂躙しうるモノだ――と、
未央が認識しショックを受けたことが問題だった。



未央は、男が女のカラダを見てセックスしたいと思い、
自分のカラダにもそういう誘引力があると理解していた。

『そういうの……分かっちゃ、いたよ、いたんだよ……ホント、だよ……?』

ただ、未央のもっとも身近で性欲盛んな男は、年の近い兄と弟。
プロデューサーも顔見知りで、未央の兄と弟ならこういう男子だろうな、という人物だった。
未央の基準は、兄弟やその友人だった。

『あいつらじゃエロ本やDVDを隠し持つのがせいぜい、仮に進んでたとしても彼女と同意の上だろうなぁ』

未央は男の性欲がどんなものかは実感していたが、
性欲に取り憑かれた男の醜さは知らなかった。
知っていたつもりだっただけに、却ってショックが大きかったのだろうか。



『悪かった……男の俺に話すの、辛いだろう』
『や、いやあっ、謝らないでよっ、プロデューサー、全然悪くないじゃん……
 で、でもね、乙女の秘密を聞き出したからには……守って、くれるよね?』

未央は痛々しい笑みをプロデューサーに向けた。

未央とそのプロデューサーが所属する事務所は、業界屈指の規模と歴史を持っている。
警備は万全、今よりアイドル業が物騒だった昭和からずっと問題を起こしていない。
こうしたデリケートな事態に対応できるカウンセラーも、すぐ手配できる。

プロデューサーは事務所と本田家に、未央の状況を話せるところまで明かし、
未央のメンタルケアに関してはそちらに任せ、自分は未央を見守るだけのつもりだった。

それより、未央の仕事の調整に骨が折れるだろう、ということへ意識が向いていた。



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