21:名無しNIPPER[saga]
2016/11/16(水) 00:19:21.11 ID:8XzE9PQ+0
――――――――――――――――――――――――――――――――
バーベキュー風の夕食を終えて、バーでオレンジのカクテルを飲んで、ビーチからヴィラへ戻ってきた時――部屋の感じが昼と違うことには気が付いていた。
白いベッドに散らされたトロピカルフラワー、ローテーブルに載ったサービスのシャンパン、影絵の浮かぶ間接照明――非日常の気分をこれでもかと擽ってきた。
でも一番気になったのは、匂いだった。
食事に出かけるまでは、夏を思わせるような爽やかな薫り――パンフレットには、『レモングラスの香りで貴方をお出迎え』なんて書いてあったっけ。
今焚きしめられていたお香は、なんていうか――ドロリと、質量があるんじゃないかっていうくらい、甘くて、濃厚な匂い。
熟れ過ぎた果実、そのイメージの、無限の延長線上。
――嗅いだ瞬間、腰が抜けそうだった。
鼻から、喉を通って、脳に届いて、全身を巡るような。
心臓の鼓動を速めるような、血が沸くような、頭に血が上るような。
そして血が、お腹に溜まるような、そんな感じだった。
――ど、くん……ッ
疼いた。
久美子(あ……コレ、そう、よね)
私は、直感した。
こんや私は、Pさんとセックスする。
今日一日中、ほとんど期待はしていた。
朝の待ち合わせ、ノースリーブの肩を見せた時。
昼、撮影が一段落して、ビキニで眠っていたところを起こされた時。
夜、酔いの回った互いが互いの目を見つめた時。
それが今、確信に変わった。
Pさんのマンションでも私の寮の部屋でもない、初めて来た場所で、私は抱かれちゃうんだ。
63Res/73.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20