56:名無しNIPPER[saga]
2016/12/04(日) 18:36:15.37 ID:p8lNJQva0
「よ、っとっとっと……」
「おいおい大丈夫か?」
少しよろめきながら、心配した風なPさんの隣にどっかりと腰を下ろした。鍋と熱燗であったまった二人の肌は、浴衣越しに触れるだけでも汗ばむみたいだった。
「芽衣子、お行儀が悪いぞ」
足を崩した私に、いまさらな注意をするPさん。これまで私にしてきたことを思い出せと言いたくなる。
その充血した眼は、私の顔に向けているふりをしてうなじを見たり、裾から零れる内腿やふくらはぎを何度も盗み見ていた。そして、その視線には温度と湿度を感じた。
あと少しで、Pさんの強がりに無理が来ると確信した私は、とっくりとお猪口を引き寄せる。
「んー? なんのことかなー。まあまあ、もっと飲もうよ」
二人のお猪口に手酌して、ゆっくりと袖を持ち上げる。
「……んくっ、ん」
熱いアルコールが唇から喉、喉からお腹に流れていって、身体が一本の管であることを思い出す。
「む……あむ……っ」
その火照ったカラダをちょっとよじると、湿った浴衣がはだけて、たわむ。胸元に入り込む空気が少し冷たい。
(……きっとPさんから見たら、もうちょっとでさきっぽが見えそう、て感じのハズ)
すると効果てき面、 私が注いだ熱燗に口をつけるよりも先に、生唾を飲み込む音が聞こえて――にゅっと手が伸びてくる。
「――芽衣子」
耳元で囁かれた生暖かい低音に、ゾクっと神経が震えて、少し、ほんの少し、染みる。
でも、
「……むー!」
私を掻き抱こうと伸ばしてきた手をばしっと撥ね退ける。きょとんとしたPさんに、お猪口から口を離して告げる。
「だーめっ、Pさんが一番面白がってたって認めなきゃ、だめだからぁ!」
そのままぷいっ、と顔を背ける。くっつけていたカラダを、座布団ごとお尻いっこぶん遠ざける。
でもこれはガマン比べ。その証拠にもう、私は体温が恋しくて溜まらなくなっちゃう。
(うぅ〜、はやくコーサンしてくれたらなぁ……)
そう思ってまたお酒でごまかそうとすると、
――ぎゅうっ、
「はいはい、俺の負け、俺が一番楽しんでましたよー」
「ふへぇ……むぅー、なんかテキトーじゃないっ? そんなんじゃあ、ゆゆしてあげな……はぁむっ、んちゅっ……んむっ」
なんか勝った気がしない! ずるい!
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