彼女達との思い出
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332:テスト ◆71vVbFpf.c[saga]
2017/01/13(金) 12:35:38.38 ID:oJFYbA1J0
しほ「来月、そっちでリサイタルがあるんだけれど、良かったらオススメのスポットや格安の宿なんかも教えてくれないかな?」

彼女からの連絡は、唐突だった。
数年ぶり。30に差し掛かろうとしている頃、唐突に連絡が来た。

僕「しほちゃん?!お久しぶり。んー、そうだね。いいよ。いつ来るの?」
しほ「来月の〇日。」
僕「・・・OK。予定開くから、会おうよ。久しぶりに話そう。」
しほ「いいの?」
僕「え?いいよ?」

彼女と、会うことになった。

僕は、地元では名の通った有名店に案内した。

しほ「あ、ここ知ってる!〇〇の元祖のお店だ!」
僕「お、良く知ってるね。高くないし、人気のお店だよ。こんちはー」
店員「あ、藤原君いらっしゃいー。お連れさんとだなんて珍しいわね、お二人様ご案内しまーす。」

しほ「馴染みなんだね。」
僕「昔ながらのお店って、通うと名前覚えてくれるから好き。」
しほ「長いんだね。常連さんってカッコイイw」
僕「まあ、学生時代から知ってるお店だから。」

名物が運ばれてくる。僕は、ウーロン茶で乾杯した。
彼女も僕も、飲むのは好きだ。でも、彼女は車で来ていたし、相手が飲まないなら僕も飲まない主義だ。

しほ「ビールでもいいのに。飲まないの?」
僕「しほが飲めないのに、僕だけ飲めないよw」
しほ「相変わらず律儀だね。」
僕「いいんだよ。飲むために来たんじゃないし。」

しほは、少し大人びた。昔はストレートの黒髪だった。
今は、明るい色に染め、すこしウェーブがかかったようなヘアスタイルだった。

僕は、逆に黒髪に戻していた。
昔のような服装でもない。柄物はもう着ない。白いシャツに青のジャケット。シンプルな格好になっていった。

しほ「相変わらずの着こなしだね。昔からそうだったね。」
僕「何が?」

しほ「竜也君て、昔から、写真とか見せてもらっても、すぐ見つけられる。一人だけ着こなしが違うんだ。」
僕「そう?背が高くてひょろっとしてるから見つけやすいんじゃ?」
しほ「そうじゃなくて、立ち位置とか、ワンポイントの色使いとか。」
僕「そんなもんかな。」

僕たちは、この数年間の穴を埋めるように、いろんな話をした。
彼女のご両親が亡くなったこと。
生徒さんたちのこと。
今の生活ぶり。

しほ「今日は楽しかった。ありがとうね。」
僕「こちらこそ。また来ることがあったら、会おう。」
しほ「うん。来年になりそうだけど、ちょくちょく来る機会がありそうなんだ。」
僕「そうか。嬉しいな、そうやって昔からの友人がきてくれるのは。」

しほ「そう言ってもらってうれしい。遅くなるといけないから、そろそろ帰るね。」
僕「ああ。またね。」

翌週、一人でまた、その店に行った

店員「あの綺麗な子、彼女?」
僕「ん?違うよ。昔からの友達。」

店員「あらいやだ。じゃあ、その前に連れて来た子が彼女?相変わらずやるわねぇ2股?」
僕「おばさんw人聞き悪い!前の子とは、すぐ別れちゃったんだ。」

店員「若いわねぇ。その前の、すっごい綺麗な子、私好きだったのに。。どうして結婚しなかったのよ?」
僕「ははは・・・いろいろあるんだよ。ねえ、おばさん。わかってると思うけど、誰かと一緒に来ても、『前の人は?』とか言わないでよ!」
店員「分かってるわよw商売柄、そういうことはよくあるんだから!」

店員のおばさんは、他のお客さんにばれないように、こっそりまかないをサービスで出してくれた。
それをつまみながら、ビールを飲む。

僕「・・・ふぅ。思い出の味、ねぇ。」

この広い、皆が一生懸命生きてる世の中で、僕のことを覚えていてくれる人がいる。
僕はそんな人がいることを確かめるために、常連客になるのかもしれない。

僕「おばさん、生おかわり」
店員「あいー。カウンターさん、生お願いしまーす!」




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