彼女達との思い出
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343:テスト ◆71vVbFpf.c[saga]
2017/01/14(土) 22:52:33.07 ID:ietNf+Dm0
少し前から覚悟していた。
その日はやってきた。

重役の市村さんが、亡くなった。

体調を崩していたのは知っていたし、市村さんが会社を休んでいるときは僕が代役をしていた。
でも、亡くなる直前まで、やっぱり市村さんは会社に戻ってくると思っていた。

だから、実感は沸かなかった。

市村さんが亡くなっても、会社はなくならない。
誰かがその役割をする必要がある。

当然のように、僕がその後釜にされた。
実務的なものは僕がやっていたので、特に問題はない。
しかし、偏屈だったとはいえ、市村さんと僕では信用度が違う。

幸い、客先は僕でも問題ないと言ってくれた。
顧客「実質、君がやってたようなものじゃないか。引き続き、藤原君がやってくれればそれでいいよ」
うちの社長「そうですよね。了解いたしました。藤原、頼んだぞ」
僕「ご要望でしたら、そうさせていただきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。」

葬儀は、斎場を貸し切って行われた。
何百という方が、別れを惜しんできてくれた。

にこやかな表情だった。

社長「給与は増やすから、市村さんのあとを頼むよ。」
僕「他の社員さんのこともありますが、私でいいんでしょうか。」
社長「正直、あの役割をほかの社員が引き受けるわけないよ。打診したけど拒否されたよw」
僕「ですよねぇ。私で務まりますかね?」

社長「君しか務まらないよ。勤務体制は定時は設けないから。必要がなければ、出社しない日もあっていい。携帯だけはつながるようにしていてくれ。」
僕「わかりました。まあ、顧客のほとんどは私の携帯にかけてきますので、確かに会社にいなくてもいいですが。」
社長「それでいいよ。負担をかけるが、その分給料は弾むから。これからも頼んだよ。」
僕「・・・はい。」

市村さん、あなたは、最後まで自由人でした。
僕が受けた影響は、少なくなかった。
反感を持ったこともあります。
それでも、あなたは、尊敬に値する、立派な方でした。

合掌。


顧客の方々は、僕を可愛がってくれた。
納期調整や新規の案件、トラブル、あいさつ回り、立上りの品質確認、市村さんがしていたことは多岐にわたる。
いつも僕が傍らにいたので、基本的には問題ない。

市村さんなら、きっとこう言うだろうな。

顧客「はっはっは。」
僕「どうされました?」
顧客「いや、市村さんと同じことを言うなと思って」

僕「そりゃそうですよ。僕に仕事を教えてくれたのは、市村さんですから。」
顧客「厄介な奴だなw若くて賢い市村さんか。怖い怖いw」
僕「そういわず、これからもごひいきにw」

僕が何かをしても、何もしなくても、時間は過ぎる。
そして、物事は進んでいく。

このままでいいのかな。
いけない。

それはわかってる。

栞里は結婚した。
優子は転職し、違う事業をしている。
祐希は順調にキャリアを積んでいる。

菜々子さんも結婚して退職したらしい。
結衣も一児の母だ。
絵里奈と玲奈は2人目を身籠っている。

僕は?

悶々と生きる。


悶々と過ぎる毎日。
そんな毎日の中、2011年、3月11日を迎えた。



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