60: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 18:22:29.81 ID:hbVB15e3O
下り専用のエレベーターで、二人沈黙して外に出た。
ひろ君にかける言葉が見つからず、私は彼の頭をぽんと叩いた。
ワックスでガチガチでざらざら。
ホテルのネオンに照らされて、赤茶の髪が燃えているように見えた。
怒っているようには見えなかった。
悔しいとか、恥ずかしいとか、まあそんな感じかな。
「ひろ君!」
聞き覚えのある声。
まさか、
「姉ちゃん……」
「後をつけて来てみれば、どういうこと?!」
帰ったんじゃなかったの。
ちあきさんが駆け寄って、ひろ君の頬っぺたを殴った。
グーで。
それなりに身長さのある二人だったが、ひろ君はよろよろと尻もちを着いた。
私もひろ君を擁護できず、呆然とそれを眺める。
「いってえ……」
よれたシャツの襟首を、ちあきさんが掴み上げる。
「あんたは、何してるの!?」
ちきあさんが叫ぶ。
ホテル街の闇に、甲高い声がよく通った。
ひろ君は顔を上げない。
「絵ちゃん」
「は、はい」
「どういうことか説明して」
私はすまないと思いつつ、簡単に話した。
ひろ君はぴくりとも動かず聞いていた。
「ひろ……!」
初めて見る、ちあきさんの表情。
怒っているような、希望を失ったような。
期待を裏切られたような。
「何がしたいのよ……」
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