61: ◆/BueNLs5lw[saga]
2017/01/09(月) 18:52:17.03 ID:hbVB15e3O
「俺は……さっさと家を出たい。それだけだよ」
「あんたは、まだ中学生なのよ?」
「分かってるよ! 分かってるから、もう、俺に構わないでよ! 姉ちゃんが、俺の周りの人を傷つけてるんだ……知ってる? 絵ちゃんは、姉ちゃんのせいで年上の女性がトラウマになった。ろくに授業も集中できないんだってさ! 俺の小学校の時の友達、姉ちゃんが叱ってから音信不通なんだよ? それから、教室で姉ちゃんが張り倒した子……俺の初恋だった」
ひろ君は、ちあきさんの手を払い退けた。
「姉ちゃんのせいだ! 全部、姉ちゃんが悪いんだよ! こんなんだったら、父さんとこに行けば良かった! もう、俺に構うな! 消えてくれ!」
ひろ君もちあきさんも酷い顔で涙をぼろぼろ流していた。
二人の応酬が、人を集め始めていた。
息を荒げて、ひろ君は言いたいことを言い終えたのか、
「帰る……」
一言言って、踵を返した。
ひろ君の溜まりに溜まっていた怒りを浴びて、喉がからからになっていた。
呆然と立ち尽くすちあきさんに声をかける。
「あの……」
私は、目を一度瞑って、決心して彼女の手を握る。
が、するりと離れてしまった。
「反抗期ってやつ?」
ちあきさんが言った。
「そうかもね」
何か慰めの言葉を探す。
見当たらない。
「あのね……」
彼女は、頭を抱えて、
「死にたい」
と呟いた。
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