16:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/29(木) 16:22:26.26 ID:AWhlWl6p0
花陽「……全ての人を助けることができないから、ですか」
綺礼「そうだ。男は正義の味方として、誰も血を流すことのない世界……つまり恒久的な世界平和を望んだ。
しかし、それは人の領分を越えた、決して叶わぬ願い──己が理想の内にある矛盾に苦悩しながらも、男は走ることを止めなかった」
花陽「………………」
綺礼「いつしか男の理想は、最初に抱いたものとは別物になっていた。
全ての人を救うことができないと悟ったときから、救えぬ少数を早々に切り捨て、助かる見込みのある多数を取るようになっていたからだ。それでも誰かを救うことができるならと、男は自分に言い聞かせ続けた」
私には言峰さんの話す人物が誰かはわかりません。
本当に実在する人物かどうかも、微妙なところです。
でも、彼を語る言峰さんの弁には並々ならぬ熱意が籠っていました。
綺礼「いつしか男は、自分の理想を叶えるために、奇跡に縋るしかなくなっていた。
どんな願いでも成就させることができる万能の杯に、男は願った──誰も傷つかない世界を」
自然と喉が鳴る。
言峰さんは途中で黙り込んだまま、先を話さない。
花陽「それで、その人はどうなったんですか」
綺礼「杯は願いを汲んだ。その結果、誰も傷つかない世界を実現させるため、全ての人類を殺し尽そうとした。誰も存在しなければ、誰も傷つかない──奇跡の杯は、人間の悪性を以って男の願いを成就させた」
77Res/77.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20