83: ◆x.53aZIM6g[ saga]
2017/03/01(水) 18:15:44.29 ID:t92fRfpFO
はあ、はあ。
息を切らせて誰もいない昇降口に立つ。
ズボンはびっとりとしたまま。
途中で10人くらいの人とすれ違った。
まるでおもらししながら走り回っているかのように見えたかもしれない。
そのうち何人かは笑っていた気がする。
見られたんだ。ぼくの……ぼくを。
先輩も、ぼくがおもらししたとおもったんだろうか。
いじめに負けて、おもらし。
おしっこを赤ちゃんのように漏らしたと。
ああ……映画じゃなくても、いや、映画より唐突に終わらせることはできる、そう頭に浮かんだ。
その時、昇降口の簀子をかあん、と鳴らす音と一緒に、同じくらいの大きな声が響いた。
「待ってください! ごめんなさい!」
「先輩」
平瀬先輩が追い付いていた。ぼくを追いかけてきてくれたんだ。そして声とさらに同じ時に、深々と頭を下げていたんだ。
ふわりとしたピンクの髪の毛が集まる頭の後ろ側が、僕の目の下にある。あのきれいな髪が。
『ピンクの髪は淫乱だ』ってだれかがいってたけど、この人にだけはそれは当てはまらないだろうなと思ったあの髪だ。
顔を上げた先輩は、涙を流していた。
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