勇者「幼馴染がすごくウザい件」
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23: ◆qR6TCtkvbo[sage]
2017/03/15(水) 17:26:23.75 ID:Cyt3wLgz0
悪意を持った精霊。――通称、ゴブリンである。
精霊は大きく分けて四大元素の、土、水、火、風の四つに分類される。しかし、精霊種はそれだけではない。
ゴブリンのように魔に堕ちた亜種も存在する。
精霊がどうしてそうなるのかは魔王による影響が大きいとされるが不明な部分が多い。

カケル「(なんでこんなところに⁉︎ ここ城壁の内側だぞ⁉︎」
ゴブリン「人間か」
カケル「(喋ったぁ⁉︎)」

おかしい、喋れるような知能があるなんて。こういう雑魚精霊は知能がないと相場が決まってるはずなのに。
ゴブリンは俺を見て舌舐めずりするように、にやりと笑った。

ミラ「やっぱりだめ! カケル逃げて!」
ゴブリン「この場を見られたからには生かしておけない」
ミラ「……っ! そんな……私を助けにきたばっかりに……」

そもそもここにいたって知らなかったからね⁉︎

ミラ「目的の物は渡す。だから、カケルだけは助けて。お願――っ!」

いつの間に振り向かされたのか、俺の顔を覆いつくさんばかりの大きな掌で、顔面を鷲掴みにされているのだろう。指の隙間から差し込む淡い光が、そのことを示していた。

バキッ! バキッ!

後頭部をしこたま打ち付けられ木の床を突き破る音がする。
それと同時に、電流でも流されたかのような衝撃が五体を駆け巡る。
もがくように反射的にゴブリンの腕を掴み、引き剥がそうとするが、さながら万力で掴まれているかのような力強さを感じるだけで、どうにかなるものではなかった。

ゴブリン「こいつ反応、遅い。ゲヘヘ、目的のものは、殺した後でもらう」
カケル「(いてぇっ!)」
ミラ「カケルっ! カケル!」

息も絶え絶えに俺は、もがいていた。気絶できればどんなにいいだろう。だが、霞む意識の中で、痛みが覚醒を促し気を失うことを拒んだ。

心臓の鼓動が早鐘のように鳴り始めた。
やばい、このままだとやばい。

カケル「(ぬおおおぉぉぉっ! もうお家帰りたいよぉおおおっ!)」

声にならぬ声で心の中で雄叫びを上げ、床に沈んだまま、ゴブリンを見上げる格好で睨む。

ゴブリン「お前、弱いが、いい眼をしている」


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