勇者「幼馴染がすごくウザい件」
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24: ◆qR6TCtkvbo[saga]
2017/03/15(水) 18:05:54.05 ID:Cyt3wLgz0
ゴブリン「その眼、俺が……うぐぅっ!」

扉を突風が吹き飛ばしゴブリンを宙に浮かせている。
――切り裂く断末魔の叫びだった。四つん這いの姿勢のまま命からがら逃れた俺は、ミラと見つめ合う。

ベニ「間に合った」

ローブに身を包んだ少女達と老人が敷地内に侵入して俺達の直線上に現れていた。手には杖を持っている。

ジョル「走っていなくなるから何事かと思ったら、ゴブリンの気配に気がついたんじゃな」
ベニ「さすが勇者」
フラン「あら、ミラじゃない」
ミラ「し、師匠⁉︎」

声がして一気に騒がしくなっている。術者の声に気がついたゴブリンは、腕をやみくもに振り回しながらこちらにもがいていた。

ゴブリン「ぐっ……五大魔術師かっ……!」
フラン「黙りなさい。低俗精霊が。さぁ、誰の命令なのか洗いざらい喋ってもらいましょうか」
ゴブリン「ぐぐっ……!」
フラン「カルア、遠慮はいらない。もっと締めあげて」
カルア「はい、お姉さま。風よ、マナよ……」
ゴブリン「あぎぃ……息がっ……かはっ……っ!」
フラン「さぁ、言う気になったかしら? カルアは風だけど私は火よ。私に脳みそ焼かれて殺されるのがお望み?」

な、なんだこいつらは。
状況と変態どもに囲まれて生きてる心地がしない。叫べたのは心の中だけで、もう「あ」とか「い」とか言葉がひとつ足りともでなかった。
動けるならどうするか? 決まってる! 一刻も早く逃げ出してるね!

ミラ「師匠! そいつの目的は勇者……カケルです!」

全員の目が一斉に俺に向けられる。

フラン「なるほどねぇ。選定の時を狙って暗殺でもしにきた? 魔王ってチキンなのね」
ジョル「ふむ……。であるならば、こいつは帰すわけにはいかんのぅ」
ゴブリン「そ、そんな、こいつが、勇者……っ!」
ベニ「魔王は勇者を恐れてる。それがわかっただけでもいい」

な、なんじゃぁそりゃぁ⁉︎
こんな奴らからは一刻も早く縁を切るとして、なんか……髪に違和感が……あれ、血がでてる。
感じる、もうだめだと。揺らぐ視界の中で暗闇へと俺は意識を手放した。


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