26: ◆y7//w4A.QY[sage]
2017/03/15(水) 21:04:30.34 ID:Cyt3wLgz0
カケル「(はぁ、身体がだるい)」
ミラ「師匠! そのパン私のですよ!」
翌朝、城下町の宿屋で目を覚ました。結局、あの後、俺はすぐに気を失ってしまいここで一泊することにしたらしい。
しかし、あの夢から目覚めるといつも身体がダルい。そして、なぜかミラは顔がツヤツヤとしている。
ジョル「まぁまぁ、喧嘩せんでも。パンならまだこんなに」
ベニ「ジョル、ジャムとって」
ジョル「名前をネタにするな!」
ベニ「……別にしてないのに」
そして昨日の詐欺集団御一行もなぜか! 一緒である。
勘弁してくれ。昨日の出来事は昨日のうちにって言うだろ。
眉根を寄せて、口をへの字にしていると隣に座るフランからツンツンと脇腹をつつかれた。
フラン「昨夜は、お楽しみでしたね」
カケル「……え?」
ミラ「師匠っ⁉︎」バンッ
フラン「あら、まさかお気づきでない?」
ミラ「やめてください!」
なんでもいいが、朝からこのテンションは嫌だ。というか家に帰りたい。馬車の時間いつだろう。
ジョル「昨日は選定できんかったのぅ」
ベニ「別にいい。女神様にはカケルならいつでも会うことができる」
ジョル「……? じゃが、降臨祭はまた数十年後じゃぞ」
ベニ「王室にもある。今日はそこに行こう」
ジョル「なるほどの」
我が意を得たり、という神妙な顔をしているベニと頷きあうジョル。
ベニ「カケル、魔法の知識について、どこまである?」
ミラ「あ……。あの、カケルはあまり」
ベニ「そうなの?」
ミラ「はい、勇者ですから。あまり必要ないと思って私も教えなかったんです」
フラン「それそうと、ちょっとベニ。なんで勇者が幼馴染って教えなかったの?」
ミラ「あ、それは、その……」
フラン「遠くに行っちゃいそうでこわかったんでしょ? うん?」
一つの仕立てあげたような継ぎ接ぎ感が漂う笑顔を貼り付けたまま成り行きを見守る。
昨日のわけわかんない話の続きかよ。嫌味のひとつでも言って……言えなかったな俺の口では。
ベニ「フラン、話がそれる。カケル、少し説明する。あなたはすべての魔法を使うことができる。デタラメな存在。それが勇者」
微妙な表情を浮かべ、どうやって逃げ出そうか思案していると、俺にかまわず話を続けてきた。
ジョル「ちなみにワシ達も全ての魔法を使えないわけじゃないがの。適正レベルが違うんじゃよ」
ベニ「私達は自分に最適解な精霊がいる。私は水、ジョルは土、フランは火、カルアは風。五大魔術師はもう1人いるけど、その子はカケルともちがい特殊」
ミラ「わかってると思うけど、私は火よ」
ベニ「そして、私達は自分に合った属性は100%の力を出すことがでかる。しかし、他の属性は使えても100%の力を出すことはできない」
ジョル「それができるのは、魔王と――」
ベニ「勇者。あなたは魔王とただ1人、対等に渡り合える存在」
眉間に指をあてて、深く肩を落とす。
こいつらに必要なのは、薬だな。それも早急に必要だ。もし思ったように喋れても、俺は勇者じゃないただの落ちこぼれと否定しても暖簾に腕押しな気がしてきた。
俺を騙そうとしてたんじゃなかったんだ。きっと宗教にハマりすぎてしまってるんだ。
ミラも信者になったのか。かわいそうに。
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